日本人の歯に対する認識を他の先進国並みに高めていきたい

ブライトオーソドンティクス 代表

宮島 悠旗

歯科業界の常識を覆し、フリーランスの矯正歯科医として多数のクリニックと提携。チーム医療を確立することで、患者さんの多様な要望に応える宮島さんに、歯に対する日本人の意識や制度の問題点についてお話しいただきました。

保険診療では患者さんにとって理想的な診療を提供できない現実

宮島 悠旗

宮島 悠旗(みやじま ゆうき)

ブライトオーソドンティクス 代表
合同会社T&Y Connection CEO
これまでの歯科業界の常識を覆し、フリーランスの矯正歯科医として活躍する。その後も矯正治療という専門技術を生かし、多数のクリニックと提携。これまでにない「チーム医療」を確立することで、患者様の多様な要望に応えている。

日下部宮島さんは矯正歯科医ということですが、ご両親も歯科医師なんですね。名刺には愛知県の住所もありますが、こちらがご実家の歯科医院の住所になるのですか?

宮島そうです。父が僕と同じ矯正歯科医で母が一般の歯科医師です。自宅は両親が経営する歯科医院に併設されていたので、物心がついたときから歯科医院が遊び場で、夏休みの工作は歯科医師が使う道具を使ってべニアに穴をあけたりしていました。
その頃から歯科医療機器の使い方を自然と学んでいましたので、歯科医師になることも早いうちから意識するようになっていましたね。

日下部歯科医師のサラブレットですね。

宮島親が患者さんと接している姿をみて、人のために役立つ仕事をしているということは子供ながらに理解できました。

日下部ご両親の歯科医院を継がずに、フリーランスの矯正歯科医になった理由はなんでしょうか?

宮島実家のみやじま歯科医院は熱田区にあるのですが、患者さんは高齢者の方が多く、診療のメインは一般歯科治療です。父親が矯正歯科医として功績のある人なので、その影響で現在はたくさんの患者さんにお越しいただいていますが、矯正歯科医として父が治療に入るのは週に2日程度のため、もし自分が矯正歯科医として、みやじま歯科医院を継いでも成り立たちません。そのため、自分は別で矯正歯科医として活動しています。

日下部一般歯科ができれば矯正もできるというわけではないのですね。

宮島医師と同様に歯科医師にも専門性があり、矯正歯科医、麻酔歯科医、、口腔外科医、小児歯科医、一般歯科医となります。最近は一般歯科医の中でも専門性を有する骨の再生をする歯周病治療や、歯の内側にまで侵攻した虫歯に対するマイクロスコープ(顕微鏡)治療などの領域もでてきていますが、矯正だけは昔から専門性が高く特別に別の訓練を受けないとできません。

日下部宮島さんが矯正歯科医を選ばれた理由はなんですか?

宮島大学で学んでから一通り研修をした中で決めたのですが、一般診療をしていた母が「保険診療では患者さんにとって理想的な診療を提供できない」と言っていたんです。こういう話は聞いたことありますか?

日下部あります!医学界全体がそういう状況ですよね。私も医薬品業界に17年間おりましたが、今はアンチ薬ですから(笑)。志が高い方は、どうしても自由診療になる傾向がありますよね。

宮島歯科医師がもし自分の家族の虫歯治療をするなら、自費の材料のほうが体に良いと分かっているので、保険適応の歯科材料は使いません。虫歯の再発を抑え、見た目も綺麗でアレルギーも起きにくく、そして長持ちする。そういう材料が世の中に出てきても保険適応にならないと、なかなか患者さんには使えないんです。

日下部臨床試験をして安全性などが確認されたら保険適応にしていいですよね。

日下部淑美

宮島やはり国は医療費を増やしたくないというのがありますよね。医師の人数が50万人なのに対して、歯科医師は10万人です。人数からすれと5:1なので医療費全体の20%くらいは歯科の医療費に回ってもいいと思うのですが、実際は1~2%。それだけの予算の中で歯科の治療をしなければなりません。

日下部それは少ないですね。でも後々のことを考え、虫歯になりにくいとか、他の疾患への副作用を考慮するなら、もっと歯科に医療費をかけてもよいと思いますね。

宮島このように歯科は保険点数が低いので、表現が悪いかもしれませんが、保険診療しかしていない歯科医師は仕方なく納得のいかない治療をして帰すしかない。短時間でできる限り多くの患者さんを治療しないと、歯科医師として生計を立てていけないんです。開業していれば尚更で、患者さんにしっかり向き合っている歯科医師ほど、辛いと思います。
僕の母は自らそれを体験してきているので、30年~35年前から理解のある患者さんには自費の治療を勧めています。父の矯正治療があったからこそ収益も得られていたので、母は一般の保険治療の患者さんにも時間をしっかりとって治療をすることができたと話していました。
その影響もあって自分が歯科医師になるなら、何か専門性をもって患者と向き合っていきたいと思ったんです。

日下部奥様も医療関係のお仕事なんですね。

宮島眼科に勤めています。家でも保険点数の話などしていますが、眼科の一般診療で一生懸命治療をしても低いのに、歯科の点数はそれ以上低く、一般歯科診療だけでは本当に稼ぐことが難しいと思います。

日下部そのような事情を理解している一般の方は、ほとんどいないのではないでしょうか?

宮島いないですね。何故なら政府がそういうことを言わないですし、言いたくないですから。保険治療は体に悪い治療しか受けられないと言ったら大変ですからね(笑)

日下部日本でも志の高いドクターは本やメディアで真実を伝え始めていますが、抗がん剤などに比べ、歯科医師の治療を取り上げる頻度はかなり少ないですね。またこのような事実を伝えて自由診療を勧めても、お金儲けと勘違いされて、また叩かれてしまったりと伝えにくい部分もありますよね。

宮島他の先進国と比べると分かりやすいですが、欧米では、ほとんど金属は入れない。もし、金属を使った安い治療と歯と体の健康に良い高い治療があったら、患者さんは必ず高い方を選びます。

日下部そうなんですね。ちなみに、栄養学では日本はアメリカの20年遅れていて、ドイツと比べると30年遅れているといわれます。医学も同様に20年遅れていますし、獣医ではさらに20年遅れて40年遅れているとも言われていますが、歯科の領域は何年遅れていると思いますか?

宮島夫妻

宮島極端な部分をとりあげたら、30~40年遅れています。メタルインレーという金属の詰め物は100年前に開発されているものでアメリカでは30年ほど前からほとんど使用されていませんが、日本では何故かいまだにそれを使い続けている。イギリスやスウェーデンでは20年以上前に妊婦にアマルガムという詰め物をしないように、国から正式に警告が発されているほどですが、日本の保険治療にはいまだにアマルガムの詰め物の治療が入っています。それくらい日本の歯科は変わっていないんですよ。

日下部ショック、、それは日本ではそれでないと保険がきかないからという理由ですよね。

宮島海外では日本のような皆保険がなく、基本的に自費治療ですが、当たり前のように日本でいう自費治療の範囲を選ばれていますよ。

歯に対する意識が低い日本人。予防を心がけることでもっとカッコよくなってもらいたい

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部歯科医師の世界では、大学病院などに就職するか、自分で開業するかという道になると思いますが、フリーランスの道を選ばれたのはなぜですか?

宮島自ら率先して歯科のチーム医療に携わりたいと考えたからです。そして先進国の中で、日本人だけが歯に対する意識が異常に低いという現実があり、組織にとらわれずそれを何とか変えたいと考えたからです。日本人は歯が痛くならないと歯医者に行きません。
歯並びが悪いとこんな悪いことがあり、歯並びが良いとこんなメリットがありますよということをちゃんと伝えて、日本人にもっと格好良くなってもらいたいんです。

日下部歯が痛くても我慢しちゃう人も多いと思います(笑)

宮島それは先進国の基準からするとかなりおかしいんです。

日下部予防が主流ということですか?

宮島そうです。本当は予防が一番大事なのですが、これは保険制度が問題でもあるんです。

日下部予防に保険はききませんからね。

宮島予防に保険がきかないことに加え、治療も保険で安く済むという点が問題ですね。アメリカでは1本でも虫歯になれば10万円単位で治療費がかかりますから、予防にも真剣に取り組みます。国民皆保険は素晴らしい制度ではありますが、、問題も多くあると思います。

日下部私もメタボの方の指導をしてきましたが、薬を飲んでいれば好きなものを食べて良いというような、依存型が増えてしまうんですよね。

宮島それはすごくよくわかります。根本的な改善ではないですよね。

日下部国民の保険料で我儘な人を支えるなんてナンセンスですから、自ら病気を選んでいる人は100%負担にして欲しいくらいですよね。

宮島歯科も同じで、歯並びが悪いことで将来虫歯になりやすかったり、歯周病になりやすくなります。老人の中で早い段階で寝たきりになる方に共通しているのが、歯並びや噛み合わせが悪いということです。

日下部噛み合わせが悪いと体に支障がでるというのは聞いたことがあります。

宮島噛み合わせが悪くて左右バランスよく噛めないと、左右の筋肉の発達が変わってしまいます。使っている方の筋肉に顎が引っ張られてどんどんあごの重心がずれていき、その重心のバランスをとるために、身体の重心も偏っていきます。

日下部どんなに整体に行っても、繰り返しになるので、噛み合わせが悪いなら歯の矯正が必要ということですね。

宮島逆もあって、姿勢が悪いために歯並びが悪くなることもあります。

日下部それは驚きですね!大人になってから歯並びが悪くなるのですか?歯並びは先天的なものだとばかり思っていました。

宮島歯並びというのは、遺伝的な先天性のものより、ほとんどが後天性の原因によって悪くなってしまうんです。

日下部それは知りませんでした。最近の子供は顎が小さくなっているといいますが、そのせいで歯並びが悪くなっているとか。

宮島これは最近の離乳食や乳幼児用の食器の影響です。コップにストローがついているようなものは昔にはありませんでしたが、このような食器はお母さんが楽になるだけでなく、赤ちゃんにも楽をさせてしまい、本来その時期に鍛えられないといけない筋肉が鍛えらません。舌や口の筋肉が鍛えられずに成長してしまうと、骨も成長しないため、顎が小さくなります。
それから離乳食を与える時期がだんだん早くなっているという問題もあります。

日下部それは食の問題でもありますね。離乳食は1歳からがよいのですが、保育園に預ける兼ね合いなどもあるようで、離乳食を早めてしまう。これでは内臓が追いついていきません。しっかり母乳を吸うということで筋肉も違ってきますよね。

宮島 悠旗

宮島それが凄く大事で、母乳の咥え方も大事なんです。

日下部昔は赤ちゃんはおしゃぶりをずっと咥えていたイメージがありますが、今の子はあまり見ない。アニメでも赤ちゃんはおしゃぶりをしている絵になるのに。

宮島咥えたり、舐めるというのが大事ですね。今の日本は異常な清潔ブームで、汚いからと言って舐めさることをさせませんから。

自分の代わりがいないフリーランスは自己管理が大切

書籍『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”』

日下部フリーランスで矯正歯科医をされているわけですが、どれくらいの歯科医院を掛け持ちされていらっしゃるのですか?

宮島13件ですね。

日下部かなりの数ですね。月に1~2回の訪問でしょうか。東京近郊だとどのあたりですか?

宮島千葉の海浜幕張、東京では恵比寿、スカイツリー周辺、田園調布、足立区、八重洲、さいたま市の南浦和です。

日下部患者さんの意識も高そうな場所ですね。良い歯医者にかかりたいと思ってもどうやって探したらよいのかわからず、結局近場で済ませてしまうこともあると思うのですが、良い先生を探すコツはありますか?

宮島正直ホームページでは難しいですね。でも歯科医師のプロフィールを確認し、専門的な知識を有しているか、一つ上のランクの認定医や専門医などの資格を持っているかなどで目安にはなるかと思います。

日下部なるほど、その中でも腕の良し悪いは運になりますね(笑)
宮島さんはチーム医療という形で、スペシャリストの歯科医師の皆さんと協力されているとのことですので、宮島さんがいらっしゃる歯科医院で治療してもらいという方も出てくると思うのですが、どうしたら診てもらうことができますか?

宮島私のホームページに医院のリンクが貼っていますので、そちらでご確認いただければと思います。

日下部宮島さんが行かれている歯科医院で、一番お勧めはどちらですか?

宮島チーム医療で取り組めており、どんな患者さんでも受け入れられる体制があるのは「カルミアデンタルクリニック」ですね。

日下部13医院もあるので、もうさすがに担当医院は増やせないですよね?

宮島そうですね。今あるところで最大限取り組みたいと思っています。またしっかりと知識を伝えられるように、本を書きたいと思っています。実は1冊『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”』という本を出版しているのですが、なかなか本って売れないですね(笑)

日下部時代もありますが、大ヒットになるのは一握りですからね。でも実績としても出版って大きいと思います。自分の知らないところで誰かの人生を変えている可能性もありますから、すごいことですよね。
それから、お母さん達にも離乳食のあり方などの指導が必要ですよね。そういうお母さん達へ向けた取り組みなどは何かされていますか?

宮島最近、そういう子育て世代のお母さんが読む雑誌の取材を受けています。

日下部是非たくさん露出していただき、多くの人に伝えてほしいですね。ご自身がこれからやっていきたいことなどあれば教えてください。

宮島日本人の歯に対する認識を他の先進国並みに高めていくのが目標です。そもそも日本人は体への意識が低いので、歯科より先に医科のほうから変わらないと、歯科まで変わらないと思っています。

日下部やらないといけないことってたくさんありますね。

宮島いろいろ出来ることをやっていくにもフリーランスのほうが動きやすいですし、毎日違うところで仕事ができるるので、新鮮さがあります。また、自分が医院経営をしているわけではないので、治療に専念することができる。大変なのはスケジュールの組み立てで無理をしなければならいときもあること。患者さんの予約の枠に制限があるので工夫は必要ですね。

日下部予約がありますから、自分がインフルンザになったりできないですよね。これまで予約で穴をあけてしまったことはありますすか?

宮島そういうことは1度もありませんが、自分の代わりがいないというのも大変なところですね。

日下部自己管理が大事だと思いますが、今ご自身の健康管理で取り組んでいることはありますか?

宮島昔から食事のバランスは意識していますし、外食でもお店も選ぶようにしています。最近はサプリのハーブをお水に溶かして飲むデトックスハーブを摂っていて、運動もしていますよ。

日下部運動は何をされているのですか?

宮島バトミントンをしています。最近忙しくていけない日も多いですが、社会人チームに所属しているので、週に1~2回ほど参加しています。
それから、夜中に皇居ランをしたりしています。家から走って皇居に行って1週して戻ってくると、10kmコースでちょうどいい感じなんで、週1回は行けるように取り組んでいます。

日下部これからもいろいろなところでのご活躍を期待しております。今日はありがとうございました。

宮島夫妻・日下部淑美

日下部淑美からひとこと

世の中の常識とは、勝手に誰かが作り上げたものにすぎないのかもしれません。
本当に患者と向き合うからこそ、医科の世界でも歯科の世界でも業界の中の異端児的変わり者が世の中に何かを訴えているように思います。インタビューを通して、本質的なことにフォーカスできる機会も増えているように思いますし、そのような方の存在があることがとても有難い。
世の中を少しでも良くし、後世につなげようとする方はバイタリティ溢れる方が多いですね。

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代表者:宮島 悠旗

矯正歯科専門医 宮島悠旗ホームページ

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