先人が残してくれた財産を継承し事実だけを伝えていく

株式会社龍花 代表取締役

不破 博志

大学院中退後、覚悟を決めて飛びこんだ建築現場で多くのことを学び、先人が残した伝統木造を継承する建築家として活躍する不破さん。破天荒ながら自分らしく生きる姿、現代の建築事情や行き過ぎた世の中を憂うその思いとは。

解体現場で得たかけがえのない経験が今の自分を作っている

不破 博志

不破 博志(ふわ ひろし)

株式会社龍花 代表取締役
一級建築士
東京芸術大学大学院を中退後、解体作業からの下積みを経て、2008年に不破博志一級建築士事務所を設立。最先端の技術を取り入れながらも、大地が求める人に優しい素材を使用した伝統木造の建築を継承している。

日下部大学院を辞めてまで、やりたかった建築の仕事に就いたとのことですが。

不破建築士を目指して横浜国立大学で建築の勉強を始めました。当時は“素材や色に頼らず、コンセプトを大事にする”という教育が主流でした。これは現在も続いている教育方針ですが、コンセプトで取り組んでしまうと全てが勝ち負けになってしまうので、自分はこの教育方針に違和感を感じていました。
その後、建築で一番の学校で学びたくて、東京芸術大学の大学院に入学しましたが、ここは更にコンセプト色が強く、模型を作ったり図を描いたりすることをあまりしない教育だったんです。これは違うと思い、辞めてしまいました。
将来は化学物質まみれの家ではなく、否定的なものを全て排除した家を建てたいと思っていましたが、学生という立場で理想を唱えても何も変わらないと考え、まずは現場に出てみようと思ったんです。

日下部その若さで・・しっかりしていますね。

不破当時、六本木のバーでアルバイトをしていた時、お店の改装を請け負っていた大工さんに声をかけていただき、初めて現場の経験をさせていただきました。
大工の仕事ではなく、解体ばかりやらされましたが、“こうやって風呂を作ると痛みやすい”とか、“板を貼ると土台が腐る”、“金物の種類が違うと鉄が腐る”など、解体から学べることはとても多く、現場がどんどん楽しくなっていきました。

日下部解体って機械や重機で一気に壊してしまうイメージですが。

不破僕の場合は、親方から“これ2か月で壊してくれ”と言われ、全部手壊しでした。一人で無理な場合は仲間に手伝ってもらって解体しましたが、重機だったら細部の問題点まで知ることができなかったので、手壊しは本当に勉強になりましたね。
手で一つ一つめくっていくドキドキ感も面白くて、当時の日当は5000円くらいでしたが、それでもありがたかったですね。そのうちに造るほうもやらせてもらえるようになり、さらに現場が楽しくなりました。

日下部どのようなタイミングで独立されたのですか?

不破親方が亡くなり、放り出された感じになってしまったときに、知人から店を造ってほしいと言われ、設計から構築までの手間賃を30万円でやったのが独立のきっかけです。
それから店舗や住宅の仕事を請け負いながら事業を広げていったのですが、全て自分が手仕事でやるというスタンスだったので、睡眠時間は毎日3時間という感じでした。
こんな生活を3年くらい続けた頃、体の半分が痺れ始め、食事も口からこぼれてしまうようになって・・病院に行ったら神経まで栄養がいっていなかったようで、顔面麻痺の診断を受けて入院となりました。
それから自分で全部やるのはやめようと思い、今は設計をメインに仕事をしています。

日下部大学ではコンセプト中心の教育方針だったとのことですが、不破さんが考える建築で大事なこととはなんでしょうか?

不破コンセプトももちろん大事だと思いますが、僕は素材だと考えています。
建築素材というのは、壁や柱、ガラスのように動かないものを指しますが、僕の感覚でいうと、太陽や月、風や緑など、季節や時間によって変化する素材を上手に取り入れた方が、安くてシンプルにいい家が建てられると考えています。駅や図書館など、公共施設の建築もそういう傾向になってきていますよね。

日下部なるほど。でもなぜ太陽や風など自然の素材を大事にしようと思ったのですか?

不破解体の仕事で、古くてボロボロになった廃墟のような家でお弁当を食べることがあったのですが、そんな場所でも結構気持ち良いですよ。廃墟そのものに魅力があるわけではなく、周りが緑で囲まれていたり、光が予想もしないところから差し込んだり、周りの景色も含めた全体の空気感が魅力なんだと思います。
先日、築102年の古い家の家主から、屋根の修復依頼があったのですが、破損した屋根から差し込む光が自然のトップライトのようでとても美しかったので、「綺麗だから直さないで良いのでは?」と提案しました。家主さんにその提案を受け入れていただき、そのまま光が差し込むよう、穴が開いたところを透明な屋根にして修復しました。もちろん雨漏りはしないようにしましたが。

日下部素晴らしいですね。

不破新築ではなく、自然との調和を意識して古いものをそのまま活かすことは、江戸時代までは当たり前のようにやっていたことです。

日下部流行に乗った新しい素材を使って建てればよい、というわけではないんですね。

不破日本は湿気が多いため雑菌が増殖しやすく、カビやダニが発生します。日本の家が化学物質を使う理由は、この湿気問題をコントロールするためです。
僕がやっている伝統木造は古いと言われますが、木組みの工法は何百年も前から僕らの先輩たちが知恵を積み重ねて継承してきた素晴らしい財産です。構造計算を使って解析ができる構造設計士と組み、伝統的な木組の工法に今のテクノロジーを加えて更に良いものにしています。この造りが一番地震にも強く、熊本地震のときも僕の仲間が造った建物は全く壊れませんでした。
先輩たちから預かった財産を自分たちの手で更に良くし、後の人たちに受け継いでいくのが我々の責任だと感じますね。

伝統木造

お客様とは友達になりたいから、ちゃんと事実を伝える

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部以前、テレビでログハウスがブームだと放送されていました。

不破今僕が新しく施主を探しているのは“燃やす家”です。すべて燃える素材を使用して家を建て、かやぶき屋根の寿命である30年が経過したら、家を丸ごと燃やしてしまおうというコンセプトです。
セカンドハウスを持てるくらいの富裕層に持ってもらい、気に入らなければ燃やしてくれ!という感覚で建てられたらいいですね。燃やしても燃やさなくてもいずれすべては土に還る。そういう感性の方がいれば、2件目は“燃やす家”にしてみませんか?と勧めていきたいと思っています。

日下部耐火性が重視されている中で、かなり斬新な発想ですね。かやぶき屋根の住宅って、夏や冬はどうなんでしょうか?

不破断熱効果も高いので夏は涼しく、冬は暖かいです。土に還るかやぶきはとても優れた素材だと思います。

日下部地球の温暖化抑制の役に立ちそうですね。

不破通常、家を解体して出た廃棄物は中間処理場で処理され、再利用できないものは土に埋めてしまうのですが、綺麗な山道を通って山奥の奥まで行くと、見たくないくらいのゴミが広がっている・・それは本当にひどい光景ですよ。

日下部土に埋めるのは自然に還らない素材ですよね?

不破還らないです。伝統木造を押し付けるようなことはしませんが、こういった事実だけはお客様に伝えるようにしています。
こういう素材を使っても構いませんが、地球に還らないので、僕はできれば使いたくない。これは事実を伝えているだけで、どうするかはお客様の判断にお任せします・・と。そうやって合意を得た上で仕事をしています。

日下部最新の耐火性のある素材を希望される方もいますよね。

不破もちろんいらっしゃいます。僕は仕事をする上で、お客さんとは “友達”になりたいと思っているので、自分が問題だと感じる事実を隠してまで仕事をしたくありません。事実をきちんとお伝えし、お互い理解した上で仕事がしたいだけなんです。ご理解いただいたお客様の中には伝統木造に変えてくださった方もいらっしゃいますね。

日下部お客様と友達ですか。

不破僕がお世話になった親方からは「建築はおめでたい席の準備。一生の付き合いになるんだから、絶対に施主と揉めるな。最後までめでたくもっていけ。」と教えられました。だから仕事をする前に事実を伝え、友達になって仕事が出来るようにしています。

日下部不破さんの価値観や感性を理解してもらった上で、仕事をさせてもらうということですね。

不破そうですね。以前公開していたホームページは作品を掲載していたのですが、表面的なところだけを見て仕事を依頼してくる方が多くとても苦労したので、今はホームページを公開していません。
ただ、周りからもホームページくらいはあったほうが良いと言われているので、文章は載せず作品だけが見られるHPを準備中です。それを見て感性が合う方だけ問い合わせしてもらえたらいいかなと。

日下部こだわりのある人は文章も読むと思いますが。

不破造ったものに対してあまり説明を加えたくないんです。説明を加えるということは、思いが足りていない、伝わっていないということ。作品を見ただけで僕の思いや感性を伝えられたら、それが一番いいですよね。

不破 博志

日下部表面的なことは伝わるかもしれませんが、使用している素材など見えない部分も気になりますよね?

不破もちろん、お客様に対して隠し事や不都合なことが一切ないことが大前提です。説明を必要とするのはむしろ逆で、“こんな薬剤を使っています”など、食品アレルギー表示のように、事実やリスクがあれば必ず説明すべきだと思います。
施主のめでたい席の準備であり、自分もそこでしばらく仕事をするわけですから、そんな環境にはしたくありませんよね。

日下部確かにご自身も直接害をうけるわけだし、当然のことをわざわざ書かないということですね。
食品の場合、見た目だけでは添加物が入っているかどうかまでわかりませんので、食品表示を必ずチェックします。食も本来は説明などしなくても、安全であることが当たり前であるべきですが、品質や安全を担保できないという理由から、添加物を入れることが普通になり、今では当たり前が逆転してしまっています。だからこそ、作り手のこだわりや思いを伝えて、消費者に安心してもらうことが必要です。
不破さんは予めご自身の価値観や感性を伝えているからこそ、お客様は安心して仕事をお願いできるんでしょうね。

不破僕は人としゃべるのは好きなんですが、自分をアピールすることや書面に残すことがとても苦手で・・。いい仕事を続けて、いつか誰かが僕のことを世の中に紹介してくれたら、少しは人の役に立てたのかなと思いますが。僕はあまりビジネスマンではないので、営業は一切していません。人と出会い、遊び、心を通じ合い、僕のことを理解してもらう中で、建築の話が出て仕事に繋がっていく。仕事の依頼は大抵こんなふうに遊びから始まります。
でも、結婚した当初は奥さんに遊びに行くのを嫌がられたので、控えていたら、見事に仕事が減ってしまったんです。それで奥さんに遊びに行かないと仕事にならないということを、ようやく理解してもらいました(笑)結局仕事は人と人であり、そこで生まれるものが本物なんだと思います。

日下部確かにそうですね。でも仲良くなると、ついついサービスしちゃいませんか?

不破ありますね。見積以上のことは当然しますし、それ以外にもいろいろしてしまいますね。
親方に「業務委託契約は請負契約だ。“請け”て“負ける”と書くんだからお客さんに勝ってはいけない。造っている途中でお客さんが変更したいと言ったら、些細なことなら請けて負けてやれ」とよく言われました。これは親方から受け継いだ意志なので、自分は守っていますが、それを職人に押し付けるのは申し訳ないので、自分が現場に入って造ったりしています。
職人も僕が一人で何かを造り始めると「何やってんだ?どうしたんだ?」と聞いてくる。「お客さんにこう言われたので、自分でやっているんだ」と答えると、「じゃあ手伝ってやる」と言ってくれます。
口で指示だけするのではなく、自分の行動を見せて人の心を動かすことが大切ですね。

日下部その親方は素晴らしい方だったんですね。職人さんでも素材の見極めまでは出来ない方が多いのでしょうか?

不破そうですね。大学でも教えてくれませんでしたし、そこまで教えてくれる人があまりいないのだと思います。僕が一級建築士の資格を取ろうと思ったのは、一級建築士の方に仕事を依頼したときに、自分の意図が全くわかってもらえなかったからなんです。それを何度も経験してきたので、それなら自分で設計した方がいいと思い資格を取得しました。でも一級建築士はあくまでも「経済的に住宅が建てられる最低の基準」です。

日下部資格は取得したときがスタートで、ノウハウや知識が重なってようやく活きてきますよね。
学ぶ努力をしない人はそのままですし、努力をした人にはそれ相応のスキルを身につけることができる。デザインはまた別の話になるのでしょうか?

不破そうですね。そこは必ずプロが介入し、対応可能な形に設計する必要があります。初期段階では「あなたの欲しい家はあなたしかわかりません。まずは自分で設計してみてはどうですか?」とお話しすることがあります。そうすると僕に頼んでいただく範囲が分かってもらえるので。

不破 博志

日下部お客さんに具体的なイメージを伝えてもらうということですね。

不破写真などをご用意いただき、レイアウトイメージを伝えてもらえれば「ここの素材はこれがいいですよ」とか「ここはこうしましょう」と具体的な話が進められるようになります。
それから、僕の造る昔ながらの家で、アトピーが改善される方もいますので、そういった事例もお話させていただきます。

伝統木造と最新技術の融合。先人から受け継いだ財産を未来へ

日下部 淑美

日下部現代の家は気密性が高いので、逆にアトピーになりやすくなってしまうんでしょうね。

不破高層マンションなどは空調を入れる前提ですし、上にいくほど窓が開けられません。
空調学会が快適の基準を温度、湿度、換気の順と定めていますが、医師が言う健康の基準は、換気、湿度、温度の順です。
空調はもともとアメリカのように一年中乾燥している地域の技術で、それを日本が導入させられたものです。日本には空調など使わなくても、通気性を大事にした素晴らしい技術があるのに、ヨーロッパの建築家たちが戦後の日本に入ってきて、「なんでこんなに壁の数が少ないんだ。壁で持つ構造にしなさい」と、日本の建築技術を解体してしまいました。

日下部昔ながらの日本家屋は一面に窓があり、障子で区切られているだけの作りで、風通しもよかったですよね。

不破そうですよね。日本の家は応力を分散する籠のような造りで、接点が沢山あり、地震の力を摩擦の熱に変えて建っています。しかし現代の家は壁式で強そうに思えますが、大きな地震がくると金物が緩んでしまう構造なので、2回目は最初の耐力を維持できません。
2007年に国の耐震試験で長期優良住宅(国が勧めたい最新の住宅)と在来住宅(日本の昔かながらの家)を比較したところ、長期優良住宅がぺしゃんと倒れてしまいました。誰もが在来住宅が倒れる前提で試験をしていたので、その結果は一切公表されませんでした。

日下部でもその倒れた構造の家が、今世の中で販売されているんですよね?超高層マンションはどうなのですか?

不破高層マンションは別の計算がされていて、五重塔のようにうまく力を逃がす設計になっていますが、一軒家は最低限の縛りの中で建築されています。それでもその家を選ぶ人がいますから・・僕はただその事実を伝えるだけです。

日下部不破さんが造る家は、国が勧める長期優良住宅とは反対方向に向かっているように思いますが、何か苦労するようなことはありますか?

不破特にはないですね。逆行しているというより、時代はそっちに向かっていると思っているので。

日下部私もそう思います。衣食住全てにおいて、自然と調和した人間らしい生活は、もう一部の人の中では当たり前になっています。食養生もそうですが、古いように思えて実は最先端です。ただ多くの人は“便利さ”や“安さ”に魅了されてしまい、本質を見られなくなっています。

不破 博志

不破そうですね。人数が多いから時代がそっちだと、僕は思いません。全ての人が間違った方向になびいたとしても、大地はそれを求めていないので。人数の多い少ないは関係ありません。外で動いていることに惑わされず、自分の感性だけで動けばいいんです。

日下部自分の感性で動くことを貫くって素晴らしいですね。最新の住宅や流行り、技術などについてはどうお考えですか?

不破最新技術も良いと思えば躊躇なく導入しています。スマホ操作だけで、家に帰ったらお風呂が沸いているなんていいじゃないですか。
今品川で設計している家は、太陽光パネルを設置して、震災が起きてもIoTを使った情報家電やライフラインの蓄電ができるように設計しています。
古臭いことだけをしているつもりはなく、自分の中では常に最先端のことも考えています。知人から電話で「今どこにいるの?」と聞かれると、「最先端」と答えていますから(笑)

日下部面白いですね(笑)。名刺に書かれている『新月の木 国際協会』というのは何ですか?

不破新月の直前に切る木は、腐りにくく、曲がりにくくて割れづらいんです。それをあえてお客さんに説明していませんが、伝統木造で造らせてもらう場合は、少しでも長持ちするよう、新月の直前のタイミングで伐採した木を使っています。

日下部木も月の満ち欠けに関係があるんですね。

不破そうですね。日本は太陽の国といわれながら、メキシコやブラジルのような陽気な感じではなく、どちらかといえば月っぽいですよね。日本のお祭りも月の満ち欠けに合わせたものが多く、美意識は高貴なものが敢えて質素な形をとるように、あけぼののような、ほのかな月の光というイメージですよね。

日下部設計にも日本独自のものを取り入れたりするのですか?

不破家相をみて方角を大事にしています。北東は起門といわれていますが、そこから太陽の光が入ってくるので、東に汚物が置かれないよう設計します。
日当たりが良くて風通しがよければ健康な家になれますから、それは一番意識していますね。調湿できる壁紙を使えば、間違いなく家の空気が柔らかくなりますよ。

日下部しっかり考えて造られているんですね。

不破家を建てるというのは命がけのことですから。仕事を始めた当初は、本当に僕でいいのか?と考えたこともありましたが、今は経験を積んだおかげで、肩の力を抜いて仕事ができています。

伝統木造

自分の中にあるものがすべて。それ以外のことは気にならない。

不破 博志

日下部不破さんのご自宅もやはりこだわって建てたられたのですか?

不破いいえ。奥さんが子供のために公園の近くがいいというので、その条件に合った一軒家を賃貸しています。自分の住むところはなんでもいいんです。お金にも執着がありませんし、そもそも管理が苦手で・・。
大工をやっているときは4~5年間家無しで、毎日現場に泊まり込んでいました。家を借りたときに、“こんなにお金がかかるんだ”と驚きましたね(笑)。お金もなかったので、髪はバリカンで坊主にしていましたし、結婚するまで靴も持っておらず、年中ビーチサンダルでした(笑)。

日下部すごい暮らしですね。でも現場でビーチサンダルは危ないんじゃないんですか?

不破絶対ケガをしない自信がありましたし、本当にケガをしませんでした。でも結婚する前に、奥さんに「お願いだから靴を履いてください」と言われ、安全靴を履くようになったら、ケガをしてしまいました(笑) 。安心してしまったんでしょうね。

日下部そのような状況でよく奥さんが結婚してくれましたね (笑)。

不破本当ですね。僕は家を造らせてもらえればそれでいいんです。

日下部以前は体調不良もあったようですが、今はいかがですか?

不破今は健康です。先日、老化の一因である「糖化」が、年齢と比べてどの程度進んでいるかを判定するAGE検査をしましたが、7歳レベルでした(笑)。食事は奥さんの作った食事を食べているだけで、普通にお酒も飲みますよ。

日下部整っていますね。整っている人は特別気を付けなくても、感性でバランスがとれます。

不破皆さん外からの物事を気にしすぎているのではないかと思います。僕は自分の中にあるものだけに注目しているので、それ以外のことは気になりません。あなたが自分をどう思うおうと、僕には関係なく、それはあなたの課題ですよね?という感じです。

日下部不破さんが、「あなたの課題」と言われたことに驚きました。まさに心理学者アドラーの提唱している “課題の分離”ですね。アドラーは“人の悩みは全て対人関係にある”と提唱し、課題の分離の大切さを唱えていますが、これをもともと出来る方はほとんどいませんよ。

日下部 淑美

不破僕は生まれがアメリカで、6歳のときに日本に戻ってきたのですが、日本語がまったくできませんでした。周りが何を言っているのか全く分からない中で、実はいじめられていたらしくて・・。
でも笑いながら悪口を言われていたので、僕は遊んでもらっていると勘違いしていて。結果ハッピーな時間を過ごしていたわけです。

日下部運動は何かされているのですか?

不破合気道をやっています。年をとったときに、“ああいう年の取り方をしたいな”と思えた方が合気道をやっていたので、その影響で始めました。毎年靖国神社で奉納演舞をしていますよ。

日下部不破さんは、大事なときに誰かにヒントとなるメッセージを与えてもらえる方なんですね。

不破芸大をやめるきっかけになったのも、お酒を飲んでいたときにたまたま隣に座った大工風のおじさんに、「建築なら一番下からやらないと本当の世界は見えないよ」と言われたからです。
その言葉が自分を後押して、職人から始めようと決めました。下から始めてダメだったら来た道を戻れば良いですが、もし上から始めていたら怖くて下にはいけないですね。

日下部言われたことを素直に落とし込めていることが素晴らしいです。

不破学生の頃の友達は、”ニューヨークに行く”とか“カメラマンになる”とか“ファッションデザイナーになる”とか、覚悟の決め方が格好いい奴ばかりでした。自分も格好よく覚悟を決められるチャンスをずっと探していましたし、覚悟が決まらないと話にならい時代でしたね。今は事前にネットでなんでも調べられるので、覚悟を決めるチャンスを失ってしまっているのかもしれません。

日下部最後に不破さんの展望があれば教えてください。

不破今回のコロナウイルスは、地球を浄化するためのきっかけだと思っています。インバウンドや生産を海外に頼りすぎたスタイルがデフレを招いていることを見直すきっかけになりました。
国内生産にシフトすれば、物価は高くなりますが、給料も上がり、税収も上がる。これを各国でやっていかないといけない。亡くなられた方たちのためにも、ポジティブにとらえて変えていく必要があると思います。
僕の設計する家はウイルス対策の家としても活用できます。日本では家に入る時に靴を脱ぐ習慣がありますが、海外にはありません。こういう時代こそ、日本の素晴らしい知恵や文化が海外に求められていると思いますので、それをコンセプトにしたハウスメーカーを立ち上げたいと考えています。
ただし地球を浄化するために、事実はちゃんと伝えていきます。事実を伝えられるのは、大手企業ではなく、僕のようなしがらみのない人間の役目だと思っているので。

日下部素晴らしいですね。今回のコロナは私も地球の浄化だと感じます。これからの課題を教えてくれていると捉えて、自分は何をすべきか、何ができるか、自問自答の時間を持つことが大切ですね。
今日はたくさん勉強になりました。ありがとうございました。

伝統木造

日下部淑美からひとこと

「不易流行」という言葉をご存知ですか?不易と流行は根源が同じであるという概念があります。 不易を守るために進化をする。新しく進化する中にも不易の変わらない大事なものを見失ってはいけないのです。新月の伐採の話は、まさに伝統木造の家をどうしたら守れるのかを追求したからこそ、導かれた知恵です。新しい知恵や技術を取り入れ不易を守る。
インタビューをさせていただいた時期がちょうど新型コロナの騒動の中。日本において今だからこそ伝えるにふさわしい話を聴かせていただけました。 団結して乗り切り、笑って顔を合わせられる日を迎えましょう。

会社データ 関連リンク

株式会社龍花

東京都世田谷区成城2-15-13

TEL: 03-6411-2938

代表者:不破 博志

株式会社龍花

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