障がいがある子の親が安心して先に死を迎えられる社会をつくりたい
社会保険労務士法人QUALITY ONE 代表
平野 厚雄
発達障がいを持って生まれてきた長男の存在を受け入れられず、自暴自棄に陥いってしまった社会保険労務士の平野さん。すべてが上手くいかない中で人生を変えることになった言葉と考え方の変化とは?
この子さえ普通に生まれていれば、俺の人生はこんなはずではなかった
平野 厚雄(ひらの あつお)
社会保険労務士法人QUALITY ONE 代表 / NPO 日本総合格闘技OBクラブ 理事長 / 駒澤大学 非常勤講師。
社会保険労務士として、選択理論を土台とした職場の良好な人間関係構築にフォーカスしたコンサルティングを強みとし、全国様々な業種の会社をサポートしながら、企業研修講師、執筆等、幅広い分野で活動し、NHK等多くのメディアに取材されている。
日下部平野さんは社会保険労務士でありながら、いろいろなことをされていると伺いました。
平野小中高と野球をやっていて、プロへの誘いもあったほどだったのですが、少し思うこともあり野球を辞めたんです。社会人で総合格闘技をはじめて、3年間総合格闘技の選手活動をしていた流れもあって、現在、日本総合格闘技OBクラブというNPOの理事長もやっています。
日下部社会保険労務士、NPOどちらの名刺にも「障がいがある子の親が安心して先に死を迎えられる社会をつくりたい」とありますが、何か理由があるのですか?
平野陸上選手だった妻と結婚して、子供を2人もうけましたが、2人とも障がい児です。自閉症で見た目は特に変わりないのですが、脳の一部に障がいがあって、少し変わった行動をとることがあるんです。
当たり前のように健常な子供が生まれてくると思っていましたので、それがわかったときはとても苦しみました。アスリートの二人から何故障がいのある子供が生まれてしまったのか?受け入れられませんでしたね・・・。
当時は独立しはじめで仕事がうまくいかず、家族を養わなければならない責任からかなり悩んでいて「この子さえ普通に生まれていれば、俺の人生はこんなはずではなかった」という想いをずっと抱えていました。
今はもちろん自分の子供が自閉症だということを受けれていますし、子供にも感謝していますが、当時はまったく受け入れることができませんでした。
見た目は普通で可愛いのですが、言動が変だからあいつちょっと変だといじめられる・・・調べれば調べるほど、そんな子供達がたくさんいることがわかり、そういう変わった子でも個性として受け入れられる社会を作っていきたいと思い、名刺に記載しています。
日下部それぞれに個性があり、いろいろな人がいて当たり前だということを世に広めるために、NPO法人を通して啓蒙活動をされているんですね。
平野そうですね。僕は職業を役割のひとつとしてとらえています。そういう社会を作っていくために自分は社会保険労務士としてビジネスをし、社会に価値を提供しながらNPOとしても活動していく。NPO活動はたまたま格闘技を通じてというだけの話で、知ってもらえるのであれば駅前のビラ配りでもいいのですが、僕が生きてきた過程に格闘技があるので、格闘技を通じて世の中に発信していくのが自分の役割であり、使命なんだと、自分で意味付けをしています。
日下部具体的にはどのような形で取り組まれているのですか?
平野僕は元大相撲力士の把瑠都さんの総合格闘技のコーチをやっていて、そのご縁もあって、大きい格闘技大会RIZINなどのパフレットで我々の活動を紹介してもらったりしています。
日下部障がいのある子供達に対して格闘技をやりませんか?という啓蒙ではないんですね。
平野そうです。僕みたいな無関心だった人にメッセージを伝えたいのです。僕がそうだったように、格闘技をやっている人ほど無関心な人が多いと個人的に感じているので、そういう人にこそ知ってほしいと思っています。
日下部格闘技を通じて知ってもらうということですね。普段は社会保険労務士の仕事についてはいかがですか?
平野社会保険労務士は全国に4万人くらいいて、様々な理念を掲げて業務に取り組んでいますが、僕は社会保険労務士という仕事を通じて、職場のいじめや差別をなくしていきたいんです。うちのような変わった子供がいても個性として受け入れられていく社風や人間関係、そして組織を作るサポートをするのが僕の仕事だと思っています。
日下部名刺にこのようなメッセージが記載されていると経営者の方からも、実は社員の子供が・・・なんて相談も受けることもありそうですね?
平野ありますね。ただ、僕は障がい者教育の専門家ではありませんので、自分の経験したことをお話しするだけです。また、大人の発達障がいについても、良い悪いではなく、個性として理解してもらうえるようお伝えしています。
日下部平野さんのような社会保険労務士さんがいてくれたら、有り難いと思う社長さんは多いと思います。
平野実際に社員をコマ扱いして、使えないから簡単に切り捨てるという社長さんもいらっしゃって、そういうアドバイスをする社会保険労務士さんもいます。それが良いとか悪いではありませんが、僕は人を大切にする社長さんのお手伝いをしたいですし、こんな自分に価値を感じてくださる社長さんとお仕事をしたいですね。
“事実は一つ解釈は無数”という言葉と出会い人生が変わった
日下部高校まで野球をされて、今度は格闘家になられたわけですが、なぜ格闘家を選んだのですか?
平野高校野球時代は1年生の時から試合に出させてもらい、3年生ではプロの話もありましたが、練習や指導が厳しく、野球が嫌になってしまったんです。野球をやめると決めて大学に進学しましたが、大学時代はまったくスポーツをしませんでした。
就職は父親の影響もあり、郵便局に就職しましたが、残業もなく5時半には仕事が終わり、まっすぐ帰ると6時半には家に着く生活だったんです。その時に、このままので本当にいいのか・・・?と自分に疑問を抱くようになったんです。当時は転職などは考えておらず、とにかく体を動かそうと考えていた頃で、世間では「プライド」という総合格闘技が大流行りしていたんです。大晦日は紅白と視聴率争いをするくらい流行っていて、それを見るのが好きだったんですが、職場と家の間に通いやすい道場があったので、それで格闘技を始めてみたんです。
最初は週1~2回程度通っていたのですが、同じ道場でプロの格闘家が練習をしていたこともあり、自分も徐々にプロの格闘家達と練習をするようになっていました。
日下部そこでプロの格闘家になることに目覚めたのでしょうか?
平野これからの人生を考えたとき、アスリートとして一番体が動く黄金期の大学時代に、自分はアスリートとして何も挑戦してこなかったことを深く後悔したんです。
社会人としてのスタンスでこれから5年間格闘技をやっても、5年後にまた後悔しないようにチャレンジしてみようと決意し、アマチュア大会で実績を作り、プロの大会でも試合をするようにになりました。
日下部現在はプロ活動はされていないですよね?
平野今は趣味程度に週1~2回程度です。筋トレやランニングは習慣になっていて、ほぼ毎日のようにやっているので、体重は現役の頃より少ないくらいですね。
日下部筋トレやランニングと格闘技では筋肉の質が違いますよね。どうみてもスリムでシュッとしているので、格闘技をやっているようには見えないです。
平野見た目で”THE格闘家”とは見られないように努力しています(笑)
日下部そんな郵便局員時代から今度は社会保険労務士になろうと思ったのは何故ですか?
平野郵便局員時代に保険の営業をしていたのですが、業務を通じてファイナンシャルプランナーの資格を取得し、自分の人生に役に立つ知識を身につけることができました。格闘技のプロとして試合に出るとなると、公務員であることが支障になるので、将来はファイナンシャルプランナーとして独立しようと思ったのがきっかけです。ただ、総合格闘家を引退後、独立して仕事をするにしても、ファイナンシャルプランナーでは専門性が低いと思い、社会保険労務士か税理士になろうと考えたんです。なんとか社会保険労務士事務所に就職することができたので、勉強して資格を取得しました。
日下部そうだったんですね。
平野そんな頃に長男に障がいがあることが分かり、とにかく長男を普通の子供にしたい!治したい!という想いで、ネットで良いと言われていることは何でもやらせようと考えました。しかし、そのことで仕事を休むことも多くなり、周の目も気になりはじめたので、自由に時間を使えるよう、思い切って独立したんです。
しかし、計画もなく独立をしてしまったので、全てを自分でやりながらお金を稼がなければならず、結果一番欲しいと思っていた時間がまったくとれず、また収入も少ないため、安い仕事にも飛びついてしまうような状況で・・・そのときの僕はそれを全部子供のせいにしてしまったんです。この子さえ普通の子であれば自分はもっと計画的に動けたし、キャリアも積んでいたに違いないと・・・。
日下部そこから今の平野さんに変わることができたのは、何かきっかけになる出来事があったのですか?
平野アチーブメント株式会社の『頂点への道®』講座という研修に参加したことで、”もしかしたら変われるかもしれない”と思ったんです。
日下部どのようなことを学ばれたのでしょうか?
平野「選択理論心理学®」という心理学で、人はコントロールできないことと、コントロールできることがある。他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる。“事実は一つ解釈は無数”という言葉に出会って僕は人生が変わりました。
今までの僕は”長男を治そう”とか”長男が・・・妻が・・・”というように、変えられないことばかりに焦点を当てて、考え方も常にネガティブだったんです。すべて自分でマイナスの解釈をしていたことに気づき、それからは“何があっても感謝をする”ということを決めました。
もちろん、今までの思考の癖などもあるので、完璧に心から思うことはなかなか出来ませんでしたが、「つばさ君、生まれてきてくれてありがとう」という言葉を1日1回長男に言うと決めて実践しました。最初は気持ちが入らずに言っていたことも多かったのですが、「言霊」という言葉があるように、言葉から現実を作っていけるんです。
この言葉を言い続けながら、僕はたくさんのことに気付きました。そもそも長男の体は健康だ。目は見える。手足がある。喋れる。呼べば10回に1回は目が合う。そもそも子供が欲しくても生まれない夫婦だっている・・・。
言葉にしていくことで、今まで気づけなかったことに気付けるようになり、3年経過したときには、心から「生まれてきてくれてありがとう」と言えるようになりました。この子がいるから、今の自分があって、自分が社会から求められるような人間になれているんだな・・・と解釈を変えることができました。
日下部ありがとうの奇跡ですね。
平野僕は(財)日本プロスピーカー協会のプロスピーカーとして講演もしているので、障がいを持つお子さんの親御さんにメッセージを伝えさせていただくこともありますが、今のような話をすると、“それは平野さんだからできたんじゃないですか?”と言われます。感謝出来たらいいなとか、感謝したいなとか、そんなレベルではないんです。何があっても“感謝する”と決めたんです。僕は格闘技などのスポーツをする中で、決めて行動することを自然と学んで身につけていたのかもしれません。
日下部野球のイチロー選手も毎日の積み重ねの大切さを名言としてあげていますが、本気で取り組む人ほど、決めたら実践する日々の重さを理解しているのでしょうね。
平野30歳までに格闘技で絶対プロのリングに上がると決めてやってきましたが、実はこれがビジネスの世界や人間関係の世界でも技術として使えるんだと学びました。
僕は長男や次男、妻に対しても、どういう関係でいたいかという関係性の目標設定をしています。長男に対しては“宇宙一の理解者でいる”、次男に対しても“宇宙一の理解者でいる”、妻に対しては“離婚は絶対しない、あなたと結婚して良かったと思ってもらえる関係でいる”。これらの関係に対して、どのような考え方や行動を選べば効果的なのかという技術を学びました。僕はアチーブメント社の契約トレーナーとして100日研修講師の活動をしており、その一環で駒澤大学で講師もさせてもらっています。
企業ではマネジメントに苦しんでいる中間管理職に対する研修や、新入社員の心構え等についても研修もさせていただいているのですが、その土台になっているのが“選択理論”なんです。
日下部100日とはかなりの数ですね。アチーブメント社の研修は個人で受講もできるし、法人からの依頼も受けられるということですね。
平野アチーブメント社では個人がお金を払ってビジネスとして学びにくるコースと、法人が社員研修を依頼してくるケースがあります。僕は最初、個人として学び始めたのですが、お陰様で人生に大きな変化を手に入れることが出来たので、企業研修の講師契約をしていただき、日本全国に行かせてもらっています。
考え方と行動はコントロールができるが、感情と生理反応は考えと行動に引っ張られる
日下部私も最近は、心理学の認知行動療法や感情の仕組みについて学んでいます。先ほどの「事実は一つ解釈は無数」という言葉の通り、自分が出来事にどういう感情を抱くかによって、現れてくる行動が変わる。その感情や思考の認知をすることの必要性を解いています。
平野人間には行為と思考と感情と生理反応の4つが常に動いていると考えます。たとえば研修講師をしながら次はこういう内容を話そうと考える。そして感情は言ったことに対しての反応を受けて喜怒哀楽が動く。僕は緊張するほうなので、背中に汗をかいているという生理反応も起こる。この4つが同時に動いているのです。この中でも私達がコントロール出来るものと出来ないものがあり、考え方と行動は直接コントロールができますが、感情と生理反応は直接コントロールが出来ません。ただし、感情と生理反応は考えと行動に引っ張られるんです。
世の中でうまくいっていない人は、このコントロール出来ない感情と生理反応だけでなく、他人や過去にもフォーカスしてしまっているのです。
日下部なるほど。
平野自分がコントロールできる思考と行為を動かしていくこと。そこに目的があって、何故思考と行為を動かすのか、それが願望です。例えばダイエットでは、痩せたい、では何を食べよう?・・これが行動なんです。未来の目的がないと、この行動をコントロールできない。何故それをするのですか?という願望や未来が強く明確にありありとイメージされていないと動かせないんです。
僕は自分がうまくいっていないときを振り返ると、そもそも長男をコントロールしようとしていましたし、感情の不安にフォーカスをしていた。そこで、考えた方と行動を変えていきました。こういう子供が生まれたから自分は成功できる。それを口に出す。こういう子供が生まれてきたからこそ、自分は社会から求められて成功する人間になる・・・と自分の未来像を明確にしました。それを研修でも伝えています。
日下部大事な話ですね。
平野イライラすることももちろんありますけど、イライラしてどうするの?ということなんです。“お前、なにやってんだよ!”と言うか“どうしたのですか?”と言うか、自分が使う言葉は選ぶことができる。でもほとんどの人は、“あいつが俺を怒らせた”と言います。
日下部確かにほとんどの人は人のせいにしてしまっていますよね。自分がどう感じたかだけなのに。
平野人のせいにすると楽ですし・・・それも理解できますけどね。
日下部幸せだと感じようと思ったら、人のせいにしているとなかなか本当の幸せって感じられないですよね。
平野実は誰かのせいにしていれば、得られるメリットが僕らには沢山あるんですよ。私は悪くない、あの人のせいだと言えば、自尊心も保てるし、仲間も出来たりする。慰めてもらえるかもしれない、怒られないで済むかもしれない。あとは、守りたいという自己防衛反応もあります。
日下部確かにそうですね。
平野僕もその選択をしているときはうまくいきませんでしたが、今は自分を責めるのではなく、すべての現象は自分が源で起きているんだというスタンスに立てるようになりました。
たとえ電車が遅れていても、ならばそこから自分は何を選択し、どのように考えるかを選べるということなんです。自分のコントロール領域が広がりました。
日下部「病は気から」という言葉もあるように、すべてに共通していることですよね。ダイエットにしても“私は痩せられない”と言っている人は、誰か痩せさせて!と思っていて、痩せない言い訳をたくさん並べているんです。
平野ダメだと思っていたら本当にダメだし、人は自分が思った通りにしかならない。周りの100人があなたはできると言っても、自分が出来ないと思ったら出来ないんです。逆に周りの100人が出来ないと言っても、自分が出来ると思えば出来るんです。僕は長男がいたからこそ、そこに気づかせてもらえました。全部を成功する理由に変える。自分で選択し、その選択を正解にしていく。誰かに正解にしてもらおうとは一切思っていないです。
日下部素晴らしいですね。人生は自分でシナリオを書いているといいますから納得です。
偉大なる発明家には自閉症だった人が多い
日下部平野さんは社会保険労務士さんになって何年になるのですか。
平野7年ですね。来年春には事務所を新宿に移転し、組織化して社会へ影響力のあるチームを作りたいと思っています。具体的には税理士さん等、士業をされている方達と一緒になってワンストップでサービスを提供していく予定です。
日下部同じような志を持った仲間と準備をされているのですね。
平野そうですね。アチーブメントで知り合った仲間と一緒にこの「選択理論」を世の中に広めたいと思っています。
アチーブメント創業者の青木社長は、子供の頃にいじめや虐待を受けていて、社会に早く出ざるを得なかった。その中で青木社長はトップセールスマンになっているのですが、その過程で使ってきたのが選択理論です。選択理論は自分が源という考えなので、基本的に誰かを非難したり、差別する考え方がないんです。青木社長は、この選択理論を世の中に広めて、世の中からいじめや差別を無くしていきたいというミッションを持っていて、僕も同じように思っています。
僕の子供も職場に入ればきっと職場でいじめられる可能性があるので、社会保険労務士という立場を活用して、職場いじめや職場差別を無くしていきたいと思っています。そういう社会を作っていきたいと思っている士業が集まって来年4月からスタートさせます。
日下部私はスピリチュアル好きなのですが、選択理論は宇宙の法則と同じだと思いました。それを理論立てて説明しているので、万人に説得力がありますね。世の中にはいろいろな表現方法で同じようなことを伝えようとしていることが沢山あって、医学的には認知行動療法だったり、スピリチュアルなら宇宙の法則だったり、願いは叶うという表現だったり、そしてこの選択理論だったり。伝えたいことの本質は同じなんですね。
来年の春からスタートさせる組織で目指していくのはどんなことですか?
平野まずは、社会保険労務士の僕と税理士と司法書士の3人でスタートします。目指すものとしては、選択理論に基づいて取り組むことで、人のせいにしない人材育成をしつつ、成果が出る組織を作っていきたいと思っています。
いじめや差別のない温かい環境と、成果が出る組織の両立を目指します。中には売上が上がっていても人間関係がボロボロで離職率が高かったりする企業も少なくないですし、人間関係良くても仲良しクラブでビジネスが上手くいかなければ、企業は存続できませんので、両立が出来ることがとても大切だと思っています。
1日の終わりに今日も楽しかったと感じ、売上も右肩上がりになる。それをサポートする組織として活動していきたいですね。
日下部2018年の展開が楽しみですね。NPOのほうはこれからどのような取り組みをしていくのですか?
平野日本ブラジリアン柔術連盟が全国で大会を開催しているのですが、その大会で日本格闘技OBクラブ主宰の柔術の大会を開く予定です。発達障がいのことを知ってもらうという大会で、チラシやTシャツを配ったり、参加費の一部を障がいをもつ人を支援する団体に寄付をするなどの活動をしていく予定です。
あとは元プロレスラーの高田延彦さんが主催している子どもたち向けの「ダイヤモンド・キッズ・カレッジ(DKC)」という高田道場のオリジナル体操教室があるのですが、そことコラボをして子供たちの親に周知してもらったり、実際に障がいのある子供を呼んで体を動かしてもらう事も考えています。
日下部今はデータをみても発達障がいと診断されてしまう数が増えていますので、他人事ではなくなってきていますが、それでもまさか自分の子供が・・・という感じなんでしょうね。でも昔からそういう個性の強い変わった子供っていましたよね。
平野僕が子供の頃もいました。きっと今なら発達障がいと診断されるのでしょうが、昔は、それを個性として受け入れていたんだと思います。歴史をみると、偉大なる発明家は自閉症だった人が多いのではないかともいわれています。ある人は、この人類に自閉症の人がいなかったら、今の文明はないとまで言い切っています。
日下部東大でもそういう子供を集めた教育を始めましたよね。
平野うちの長男も学校の勉強は得意ではないですが、特定の好きなことに関しては凄い能力を持っています。最近車を買い替えたのですが、長男は分厚い車の取り扱い説明書にとても興味を持って、全頁にラインを引いているんです。妻から聞いたのですが、警告音が鳴って、「これなんだろう?」って言ったら、長男が即答で「時速15km以上で物体に近づくとブザーが鳴るんだよ」と教えてくれたそうなんです。
日下部それは凄い!ちゃんと勉強して頭に入っているんですね。
平野電車も好きで、走行音で電車をいい当てます。ガタンガタンって音を聴いて、「これ有楽町線だね」と。この間は、夜のレストランで、窓から電車が見えたのですが、車両がはっきり見えないのに車両をいい当てました。どうやら窓の大きさで見分けるらしいですが・・・。そういう特質を変えることはできませんので、親である僕がその能力で稼げるような道を作ってあげることが大切だと思っています。
日下部ダウン症の書道家の女の子もいますが、もし親が子供を恨んでいたら、あそこまではいけませんよね?そう考えると、親の教育がとても大切なんですね。
平野親御さんの関わり方の影響が大きいですね。親御さんの中には「うちのバカ息子が」のように、平気で子供にマイナスの言葉を浴びせてしまう方もいらっしゃいますが、僕が妻と決めたのは、絶対に子供にマイナスの言葉を言わないということ。そのおかげで、自己肯定感の強い子に育ちました。学校の先生にも「なぜツバサ君は毎日笑顔で楽しそうなんですか?」と訊かれますが、そういう言葉をかけ続けたことくらいしか思いつかないんですよ。
言葉には考え方の習慣や行動も現れてきますので、究極のセルフコントロールとは”言語管理”だと思っています。
日下部幼少期から浴びてきた言葉によって、感情の抱き方や言動もベースが違ってくるんですね。
平野自分自身に向かってどういう言葉を使っているのか、自分にどういう言葉をかけているのかが、とても大事なんです。
日下部話は変わりますが、ご自身の健康管理はどのようにされているか教えてください。
平野僕が一番大事にしているのが体重と体脂肪管理。数字として現れるので意識しながら確認しています。体重、体脂肪は、医学的だとか標準値等の数字ではなく、自分が一番動けるという数字を大事にしながら、5年間毎朝測定しています。健康が全てとは思いませんが、健康を失うと全てを失うという考えを持っているので、40歳になった今年は人間ドックへ行ったり、毎月マッサージをして体をメンテナンスするなど、予防も心がけています。実はマッサージなどの体へのメンテナンスは、ついつい後回しにしてしまう性格なので、毎月予定として組み込んで重要度を上げているようにしています。
食事は外食が多いですが、願望を明確にして何を食べるか自己責任で選択しています。
日下部最後に、平野さんが書かれた書籍についてご紹介いただけますでしょうか。
平野『発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと』という本になります。障がい者を持つ親御さんは、自分が亡くなった後に子供達はどうなるんだろう・・・という不安や悩みを持っています。僕はファイナンシャルプランナーを職業として、お金のことは学んできましたので、イメージはついていましたが、障がい者の方の集まりに行き、実際に親御さんの声を聞いてみると、お金のことを知りたいという声が本当に多かったんです。僕も実際の経験者の方の本を読んで勇気をもらったので、自分もそんなふうに力になれればという想いで書きました。自分が”書きたいこと”というよりも”書くべきこと”を書いた本になります。
日下部このような視点で書かれた本は他にあまり見かけませんが、一般の方にもお金のことは参考になりますね。
平野そうですね。読んで参考になったという声をいただきました。
日下部今日はとっても深いお話をありがとうございました。これからのご活躍を期待しております。
日下部淑美からひとこと
“事実は一つ、解釈は無数”この言葉にすべてが集約されていると感じました。
人は何かを感じ思っているとき、それは、相手や環境のせいではなく、ただ自分がそう思っただけのことなのです。
ある成功者もおっしゃっていました。俺は絶対出来る!という根拠のない自信が大事だと。その根拠のない自信を持てるかどうかも自分次第。ただ、やはり幼少期の親の影響も大きいものがあることは間違いないようです。
でも気づいたときから、幸せになるための選択をしていきたいですね。
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