大事なのは家という器ではなく中で暮らす家族が豊かになること

株式会社1Line 代表取締役

眞鍋 豊洋

住まいに関わる資格をほぼ取得し、日本の器再生を目指して、空き家再生、マンション・ビル維持適正化、地域再生、家具再生を行っている眞鍋社長。家は単なる器という眞鍋社長が考える住まいとのこれからの付き合い方とは?

お客様も職人さんも幸せになれる“器再生”プロジェクト

眞鍋 豊洋

眞鍋 豊洋(まなべ よしひろ)

株式会社1Line 代表取締役
20歳の時、発展途上国を旅して周り、住まいを護る仕事をすることを決意し、大学を中退。
現場で一から経験を積み、15年かけて一級建築士はじめ、住まいに関わる資格をほぼ取得。現在、日本の器再生を目指し、空き家再生、マンション・ビル維持適正化、地域再生、家具再生を行っている。志は「公平な社会を護る」。

日下部東京の空き家再生をされているとのことですが、具体的にどのようなものなのでしょうか?

眞鍋今後、国内で2153万戸の空き家が生まれると言われていますが、これは日本の3件に1件が空き家になっていくという計算です。
弊社1Line(ワンライン)では、“空き家再生”を“器再生”ととらえてビジネスにしようとしています。
小さいものだと1戸建て、中くらいだとビル・マンション、大きくなると地域ということになりますが、この大、中、小を小さいものから順に再生していきたいと考えています。

日下部それだけの空き家が生まれるのは何年後くらいになるのでしょうか?

眞鍋15年後と言われています。世界に先駆けて少子高齢化の時代を日本が迎えていくので、家やマンションを作っていく一方、人口が減っていくことで空き家も加速度的に増えていく時代がきます。“器の再生”はその空き家を再生して価値を作っていこうというプロジェクトです。
家はあくまでも、我々の生活の器ですので、その器を重荷にしないためにも、空き家を利用して安く手に入れることができれば、家を買うということが人生の負担にならないで済むのではないかと考えました。

日下部そのような視点で考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

眞鍋もともと建築不動産の消費者向けコンサルタントをしておりまして、お客様が購入された家やマンションの診断や、コンサルティングを年間1000人というレベルで10年間やってきました。
仕事場からかなり離れた場所の物件を5000万や6000万で購入し、そこに住み続けながら住宅ローンを35年払い続ける・・・それが重荷になっている方がほとんどで、家ってこんな買い方しかできないのかな?と疑問を持つようになりました。
住まいの売り手と買い手の両方の考えが分かる建築のコンサルタントという立場で、10年近く仕事をしてきた中で見えてきたのですが、多くの立場の人が関係することで本来の目的を叶えられる場合もあれば、それが買い手に高額という形で負担になってしまう場合もある。もっとシンプルに考えられたら安いマーケットを作れるのではないかと思ったんです。

日下部設立にあたってハードルはありませんでしたか?

眞鍋もともと父が電力会社の下請けの仕事をしていたのですが、下請けの苦しさを幼いころからずっと見ており、下請制度に対する憤りのようなものを感じていました。学歴や会社の立ち位置の違いで、公平に評価されない世界なので、平等というよりは公平ということが大事だと常に思っていました。頑張った人は報われて、頑張らない人は報われないが当たり前だと思うんです。それを住宅業界から変えて、自分は公平なマーケット、公平な未来を作りたいという想いがありました。
現状を全く否定するものではないのですが、構造が複雑で専門性が高く、一般の人には把握できないことが多いので、売り手主導になってしまっているんですね。
空き家を利用して情報を開示しながら、お客様に理解を深めてもらえるような、そんな買い手主導のものができればと考えたので、ハードルというものはそれほどありませんでした。

日下部プロジェクトを始められて、感触はいかがですか?

眞鍋努力が報われ正しく評価されるという、あたり前のことをしようとしているので、応援してくれる方が多いですね。

日下部空き家の再生は都内からスタートされるのでしょうか?

眞鍋そうですね。理念は素晴らしいが、現実的にビジネスになるのか?それを実行できるのか?という職人さん達の不安もありますので、まずはそれをしっかり証明していくのが最初の取り組みになります。
身近ところから立証するため、まずは関東圏、首都圏から取り組んでいこうと考えています。

日下部空き家を再生するとなると、お客様が自分で探してきた空き家をなんとかしてほしいというオーダーもあるでしょうし、眞鍋さんのところで見つけた空き家をリノベーションして売る方法もあると思いますが、最初はどのように進めていくのですか?

眞鍋 リフォーム業ではなく、不動産の買い方なども含めて設計、施工などワンストップでやるというのが目的なので、不動産の買い方で損をしないよう、後者を主にやっていくつもりです。
お客様と一緒に考えながら進めれば時間もかかりますし、一般的な概念に捕らわれてしまう可能性もありますので、無駄を省き、可能な限りを尽くしてこちらが作り上げたものを売っていく方法をとろうと思っています。

日下部淑美

日下部出来上がった物件の販売方法は、地元の不動産屋などを活用するのですか?

眞鍋完成したら声をかけて欲しいと言ってくれているお客様がおりますので、当面はそういう方々にお声をかけて販売していきます。空き家をこちらが購入した段階で、場所や広さなどの条件を開示し、それに手を上げていただいた方には随時情報を開示しながら費用の目処もお伝えしていくつもりです。そして最終的に手を上げてくださった方にお売りをするという流れになります。

日下部なるほど、空き家の段階から興味のある方は経過を一緒に見ていくことができるのですね。どうしたら、眞鍋さんからその情報をいただけるようになるのですか?

眞鍋現在、ホームページやフェイスブックなどをから登録できるシステムを準備しています。今後はそれを使って興味のあるファンを募り、情報を開示していこうと考えていますが、現時点ではご連絡いただければ、メールなどでお知らせいたします。
我が家はその最初の取り組みの物件ですが、ここには年間1000人くらいが内見しにきます。

日下部買い手からみた魅力はどんなところでしょうか?

眞鍋多重下請けではない職人さんに、値引ではなく適正な金額でお願いしますので、お客様にも適正な価格でご提供できると思います。
それに加えて志の高い職人さんと組んでいきますので、普通の物件ではやらないようなことにもこだわって対応できます。
また、他にはないアンティーク調の高級家具を入れたり、完成後に賃貸に出せるか、または売れるのかということも考慮しながら構築していきますので、独自性を持った非常に魅力的な物件になると思います。

日下部以前、家を購入してもそこに囚われることなく、時代の流れや家族構成に合わせて家を住み替えることができるように、家が重荷にならないようにできるとお話をされていましたが、そのような概念を持っている方ってあまりいないように思うんです。一度買ったらずっとそこに住み続けるイメージで購入する方がほとんどかと。

眞鍋そうですね。昔であれば大きな一軒家に家族が何世代も同居したり受け継いだりしていたものですが、核家族化が進む中で、その考えも変えていく必要があるように思います。
家を買うとなると家に重きが置かれ、35年のローンに苦しめられてしまいますが、その35年間の、まだわからない未来の変化に対応できるように、すべてを盛り込もうとしてしまうから家が高くなってしまうんです。大事なのは家という器ではなく、中で暮らす家族なんですよね。
30年もあれば子供が増え、いつかは旅立ち、仕事も変わっているかもしれない・・・子供がどこの学校に通うかもわからない状況の中で、わからないものに焦点を合わせるのではなく、5年や10年スパンでその時に必要なものにあわせて必要な器を選らぶことが大切なんです。時間の経過によって器が違ってくるのは当然なので、合わなくなれば、また違った器に移ればいい。大事なのは人生が豊になることですので、その豊かさを圧迫するだけのローンを抱える必要はないと思っています。

眞鍋 豊洋

日下部眞鍋さんの建てる家が早く増えて、多くの人の器の循環になればいいですね。

眞鍋そうですね。2000万戸の空き家のうちの1割くらいは担える企業になりたいと思っていますので、購入後のアフターフォローとして、住み替えや売買も含めて、一貫したサポートができればと考えています。サービスも順次拡張して、必要なサービスができるように整えていく予定です。

 

価格比較もせずに受け入れている業界。
9割のマンションはいずれ破たんする

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部直近の課題はなんでしょうか?

眞鍋弊社のプロジェクトは器再生と、もうひとつは家具再生が柱になっていますが、家具に関して言えば、日本では引っ越しのたびに家具を捨てていく習慣があり、それらの家具も循環させていく必要があると考えています。
それから、器がマンション、ビルの場合は、維持管理が非常に大きな負担になるため、その費用をいかに適正な価格で維持をしていくかが重要になります。マンションの場合、戸建てが100件分まとまっているという考えになりますので100通りの考えがあってしかるべきですが、実際に共有部分の清掃や管理については、予め業者が決められており、具体的にかかった費用も知らされずに共益費を支払っています。
価格の比較もせずに受け入れているという業界は本来おかしくて、ノウハウも適正な価格も知らない決定権を持つ人が多すぎるため、いい値で決まってしまっているんです。
私は比較的大きなマンションの維持管理の部分を長く見てきましたが、9割のマンションは破綻すると考えています。その破綻を予防するには、収入を増やすことよりも支出を減らすことなんです。
マンションは企業経営と考え方は同じため、事業計画を立てますが、マンションの事業計画書は、ほとんど破綻しています。破綻するように作られているんです。
関係者は管理会社と住人という2者しかおらず、本来はこの2者で利益相反するはずですが、管理会社にお財布を預けて、その中に利益相反する人達がいるということがそもそもおかしい考え方ですよね。これは海外ではありえないことで、日本では住まい手が優先されているのではなく、業者側が優先されているマーケットになっているということなんです。これを住まい手市場に換えないといけないと思っています。

日下部マンションへの介入はハードルが高いですね。

眞鍋本来なら、建築、不動産、管理、ファイナンシャルプラン的な要素、保険など総合的に判断できる人が必要だと思うのですが、現在はそういう人が存在せず、ブラックボックスになってしまっています。
私はそのあたりをトータルで判断できるよう、一通りの資格を取得し、あえて大きなビル、マンションの仕事を経験することで、マンション、ビルの維持方法について、私なりの答えを持つことができました。

日下部地域再生とはどういう構想ですか?

眞鍋地域というのは、戸建てとマンションなどが集合して地域になっていますが、戸建ては生まれ変わらせるという切り口、マンション、ビルは維持という切り口、そして地域になると器だけではなく、ソフト面の充実が必要になると考えています。
地方でいえば、医療や教育が足りない状態になっていますが、そのようなソフト面を充実させ、さらには海外から観光客を誘致することで仕事が増え、人が集まり、戻ってくるということが起こります。人を戻したい場合はソフト面の充実が先になるんです。
医療でいえば、大きな病院をつくろうとするから費用がかかり、見捨てられてしまう。しかし今ある小さな器の中にソフト面だけ戻し、それを点在させるネットワークの仕組みができれば、それほど費用もかからず出来ると考えています。

日下部眞鍋さんのように一貫したトータールサポートができる方は、他にはなかなかいないと思いますが、そのあたりはどう考えていますか?

眞鍋私と同じことができる人材が必要というより、志を共有できる方がいればいいですね。
自分で戸建ての再生をするのではなく、会社という器の中でそれぞれの専門性を活かし、自由に働きながら理念を達成させていくことが私の仕事だと思いますので。
立場によって誰が偉いというものではなく、社長も社員も職人さんもお客さんも横一線に並んで手をつなぎ、同じ方向を向きながら、利益もリスクも皆で分担していく。そんなシンプルな仕事をしていきたいですね。

日下部眞鍋さんの会社の中で、それぞれが専門性を活かすことで、一貫したトータルサービスができるという考えですね。

眞鍋私はこの業界で横断的な部分を理解できているジェネラリストではありますが、それぞれのプロフェッショナルではありませんので、プロフェッショナルな方達と仕事をさせていただくことで、不要なものを外していく仕事ができるのではないかと考えています。いい仕事をしても儲からず、嫌な仕事をして給料をもらっているのはどうかと思うんです。
今の子供は大工をしている親をみて、安い給料の中で下請けとして仕事をしている姿を見ているので、なかなか憧れを持ってもらえないのが現状です。そうではなく、しっかりした腕を持ち、いい仕事をした人が報われて収益を得る。子供たちはそんな姿にあこがれて、その技術を継承するというシンプルな構図にするには、やはり不要なものを外していかないといけないと思います。
もともとの必要な要素だけに戻し、物を作るのに必要な人達だけで作る。それは大手企業ではなく、我々のような小さな企業でないと出来ないことだと思いますので、全体の5%程度でも消費者の方が選べるようにしていきたいと思っています。

日下部考え方としては、住宅業界だけではなく他の業界でも活かせますね。

眞鍋多重下請け構造は住宅業界に限ったことではないので、他業界でも無駄を省くことができると思います。

眞鍋さん住居

新築にはない中古物件の可能性。
“支払っていく”から”積み上げていく”感覚に

眞鍋 豊洋

日下部住宅を購入するときに知っておきたい裏事情的な知識ってどこかで学べるのですか?

眞鍋なかなかないですね・・・。
購入時の担当者に教えてもらったり、セミナーなどもありますが、表面上の知識だけですので、深く理解することは難しいかもしれません。

日下部今回眞鍋さんのお話を聞くまでは、私も家は高価でずっとそこに住まなければならないという考えでしたが、意識がガラっと変わりました。
賃貸よりも一軒家を購入して月々の支払負担を減らし、さらに状況に合わせて売ったり貸したりしながら、自分も住み替えができるものなんですね。これはたくさんの人に知ってもらいたいですね。

眞鍋今は本当に口コミだけで広がっていますからね。住むだけの家という概念だけではなく、もっと大きな資産運用として考えることができると思います。例えば、住宅ローンの負担が減った分を投資信託にまわして個人年金を作っていくといったように、様々な形で不安を解消することも出来る。負担を減らすということは、安くするということではなくて、そういう意味が含まれています。
住まいと資産運用の組み合わせで、“支払っていく”という感覚から、”積み上げていく”という感覚に変わり、現金も手元に残る。それが新築にはない中古物件の可能性だと思います。

日下部眞鍋さんのようにコンサルティングをしてくれて、家のリスクヘッジやローンの軽減策などを教えてくれる方が不動産屋にいたら良いのですが・・・

眞鍋不動産屋は、建築のプロでも保険や資産運用に関するプロでもありませんからね・・・でも普通は自分で勉強しても足らないので、不動産屋に依存してしまうのは仕方がないと思います。

日下部新築で図面を見せられても想像がつかないし、コンセントや照明のレイアウトについて質問をしても、返答がはっきりしないこともあって・・・分からない中でやっていると、結局コストがかかるような設計になってしまうなんてこともありますし、欠陥住宅のことも心配です。

眞鍋7000万円の35年のローンで家を買って欠陥があったら、人生が狂ってしまうし、運が悪かったでは諦められないですよね。そうならないためには、自分が勉強して注意を払うこともそうですが、もう一つは、それだけ負担にならない家にすることも大事だと思います。
雨漏りしても、安いから仕方ないし治せばいい。家は所詮器だ・・・という感覚になれればいいんです。もともと家はそうだったはずなんですが、それが高いものになってしまった。家は一生に一回のものでもなかったはずです。

日下部確かに!遊牧民なんて、点々と移動してその場で家を建ててますよね。

眞鍋それが理想ですよね。日本は本当に家というものを背負いすぎなんです。それでも空き家が増えているという現状もある。地震に強いのも素晴らしいですが、古くて耐震がない分、保険にしっかり入っておくような、様々な考え方や価値観があっていいと思います。

日下部大きな地震があっても、結局崩れていない古い家もたくさんありますからね。今後の展開はどのようなペースで進めていくのですか?

眞鍋今年は5棟を完成させる予定です。そこからまた口コミで広がって加速度をつけて展開していきたいですね。

独身の時は1工程で食べられるものしか摂らなかった

日下部事業を立ち上げられ、自分が動かないといけない状況のなかで、体が資本だと思いますが、眞鍋さんが行っている健康管理はどんなことですか?

眞鍋なるべく家族と過ごすようにして、精神的な部分もしっかりと休息をとるということを意識しています。仕事も環境を変えて、家では引きずらないようにしていますね。

日下部メンタルは大事ですよね。長期でみると響いてきますからね。

眞鍋食事は妻が管理してくれているので助かっています。

日下部奥様の存在は大きいですね。たくさんの方のお話を聞いていると、やはり奥様の力は偉大だと感じます。逆に独身だったらどうなるんだろうと思いますね。

眞鍋独身のときの食事は酷かったですね。剥くとかめくるとか1工程で食べられるものしか摂らなかったです。1年間バナナしか食べない時期もありました。

日下部カップラーメンとか?

眞鍋それはお湯を沸かすという工程が入るので2工程。果物は包丁を洗うという工程が入るので、手で剥けないとダメです。でも、それでバナナを食べ過ぎてアレルギー反応が出てしまい、病院で先生にバカかと言われました。(笑)

日下部そんな生活ではこれからの眞鍋さんのやろうとしている事業は到底達成できないですから、本当に奥様には感謝ですね。

眞鍋本当そうですね。それと独身だと自分が倒れても自分だけのことで済みますが、今は家族を支えるという責任もありますので、自分が健康であることの大切さを感じています。

日下部今日は勉強になるお話をありがとうございました。家の捉え方が変わりました。

眞鍋家を守る必要はないと思っています。家に愛着が出て大事にすることは良いと思いますが、一番大事なのは家の中に暮らす家族が豊になることですから。

日下部その考え方を理解すると楽になりますね。本当にありがとうございました。

眞鍋 豊洋・日下部淑美

日下部淑美からひとこと

世の中は、自分の知っていることが、いかに少ないものなのかを教えていただきました。
餅は餅屋という言葉もありますが、多少は知識があった方が良さそうですね。また、いつも思うのは素晴らしい活動をされている方の裏には陰で支えてくれる存在があってこそ、だとつくづく思います。
家庭がうまくいくと仕事もうまくいくようです。

会社データ 関連リンク

株式会社1Line

東京都台東区浅草4-1-6

TEL: 03-6206-4360

代表者:眞鍋 豊洋

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