様々な症状で悩んでいる方々に食の安全と快適な生活を提供したい

辻安全食品株式会社 代表取締役社長

辻 幸一郎

アレルギー対応食品の製造・販売のみならず、発達障害児向けのサポートや「衣・食・住」のアレルギー対策事業を展開。食事で体は変わるという信念のもと、これまでの常識を変えたいという辻社長にお話しを伺いしました。

ビスケットでアトピーが良くなるなんて、ただのオカルト企業だと言われた

辻 幸一郎

辻 幸一郎(つじ こういちろう)

辻安全食品株式会社 代表取締役社長。
アレルギー対応食品の開発を始めて創業38年。世界No.1のアレルギー対応食品会社に成長しアレルギー対策に全社一丸となって取り組んでいる。

日下部お仕事の内容を教えていただけますでしょうか。

教育施設やクリニックなどからの依頼を受けてアレルギーの方向けの食品を作っている食品会社で、海外との仕事やJALやANAの食物アレルギー対応の機内食も提供しています。
飛行機の中というのは地球上で一番危険な場所で、アレルギーがある人が発症したら誰も助けることができないんです。
アレルギー食の基準は世界中で日本が一番厳しいのですが、どこも手を出さなかったんです。だったらうちがやってやろうということで、もう10年以上になりますが、一度も事故をおこしていません。

日下部すごいですね。食物アレルギーのある方は事前に申告しておけばその対応食が用意されているということですね。

3日前までに言っていただければ、全世界の全空港の冷凍庫にうちのアレルギー対応食がおいてあります。

日下部それはすごいですね!アレルギー対応食の世界シェアNo1ですね。

まあそうですね(笑)。とは言ってもアレルギーをお持ちの方は10人に一人とか100人に一人のレベルですから数は少ないですよ。

日下部いやいや、世界の全空港に置かれる唯一の企業ですよね。利用割合は数パーセントとしてもその数は相当ですよ。

それから食品会社の枠を超えて、副次的な仕事もしています。

日下部どんな仕事になりますか?

発達障害の子供の多くはアレルギーももっているので、発達障害児向けのサポート事業を行っています。日本では発達障害は治らないと言われていますが、海外では治ると信じられており、食事療法を中心に取り組んでいます。実際には食事を変えて改善している子供が多いことは、海外の多くの本でも紹介されています。

日下部そのような事業を始めたきっかけは何ですか?

もともと父がこの会社を始めたのですが、当初は予防という考え方もなく、ステロイドでなんとかするという時代でした。最初にアトピーを持つ子供向けにビスケットを作ったのですが、ビスケットを食べることでアトピーがよくなるなんて、ただのオカルト企業だと言われていました。

日下部そんな言われ方していたのですね。

できる限りステロイド薬は使いたくないとか、食事で治せるなら治したいという医師も多かったのですが、日本では認められず、苦しんでいた方もいたようです。
30年くらい前にようやく食品もアレルギー表示が必要になり、一般の人にも食物アレルギーのことが認知されるようになってきましたが、当時は風あたりが厳しかったですね。

ハンドメイドクッキー

ちょうど、5~6年前から自閉症の子供や発達障害児向けの食事を作り始めたのですが、そのきっかけとなったのはアメリカ大使館でグルテンフリー、カゼインフリーによる自閉症、アレルギー、セリアック病の改善を、アメリカでは当たり前に取り組んでいるという話を聞いたからでした。アメリカの穀物協会で小麦に代わる第三の穀物を開発したということで、“セリアック病や発達障害、アレルギーの方のための食品づくりに役立ててください。”というものでした。それが我々が初めて自閉症用のビスケットを開発したきっかけになります。うちで売っている食品はグルテン、カゼイン等を全て除去した食品なので、彼らからみたら不思議な会社だったようです。

父が倒れたことが人生の転機となり、会社を継ぐことを決意

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部もともとアメリカで出版されていた『食事療法で自閉症が完治!!』という本が翻訳されたので、数年前に読みましたが、アメリカは日本より進んでいるんですね。

その本に僕も登場していますよ。

日下部え~?!気づきませんでした(笑)

世の中の動きは、食事療法の大切さを伝える本が増えていますし、時代も変わってきているのですが、やはり未だに日本では発達障害は治らないと言われています。

日下部そうですね。でも、アレルゲンを排除するのは、発症を抑えるために最初に取り組むべきだと私は思っています。

そうですね。うちは国立病院とか子供病院などの公の病院との取引もさせてもらっており、アレルギーを発症させない食事として、病院食や売店の食品も提供しています。

日下部人は食事で左右されるということですね。

それは実感せずにはいられないですね。常識ってなんだろうと考えると、事実が重なって常識になるわけで、今常識ではないからと言って、それが間違っているのか正しいのかといえば、僕がいま取り組んでいることは、正しいことをしていると思っています。実際に食事で病状が変わりますから。

日下部私もそれは賛成です。

うちはアレルギー重症患者の子供を連れてツアーを開催しています。重症の子供は飛行機の機内食や旅館の食事も食べられないので、どこにも出かけられない子が多いのですが、機内食や旅館の食事をうちが提供することで、宿泊もできるようになるんです。そんなツアーを企画開催していたことで、先日JTBのヘルスツーリズム大賞をいただきました。ツアーに参加したお母さんが『こんなツアーのおかげで安全に旅行ができました』って書いて応募したら、それがグランプリとってしまったんです。

日下部それは素敵ですね。もともとお父様が、オカルト的だと言われながらも、このアレルギー対応食を作って展開していこうとしたきっかけはどんなことだったのですか?

当時の3大アレルギーといったら卵、牛乳、大豆だったのですが、父がそれであれば、アレルゲンを排除した食品で子供が好きで少しお腹にもたまるビスケットを作ってみようと始めたのがきっかけです。当時は小麦がまだそれほど言われていませんでした。
その後、乳製品が全く入らないチョコレートを世界で初めて作ったことで、多くのお菓子屋さんのアレルギー対応食品なども、うちが作らせてもらうことになりました。また、アレルギー対応食に取り組んでいる企業、飲食店等にも、うちの食品や調味料など納品させてもらっています。企業さんによっては、公表したくないところもあるので企業名は言えませんが・・・。

辻 幸一郎

日下部そういうものなんですね。

それから、アレルギー食品を排除したらダイエットに成功したという方もいますよ。

日下部先日のセミナーでもお話ありましたね。

肝臓の機能が正常でしっかり代謝がされていれば、基本的にそれほど太らないものなのですが、アレルギーがあることを知らずにその食品を食べていると肝臓に負担がかかり、そんなに食べていないのに太ってしまうこともあります。

日下部食べ物を変えると多くの可能性が広がりますよね。

多くのアレルギー症状のアトピーや、喘息、脳内ホルモンへの影響も、やはり腸内環境に問題があるので、腸内環境を改善するための食事に変えることが、一番の近道だと思います。

日下部腸内環境についての本も多いですし、テレビでもよく言われていますよね。腸内環境をよくするということは、だれにでも当てはまることですね。
話は変わりますが、事業を継がれるときは、素直にそのまま受けられたのですか?

今から17、8年前、僕が30歳のときですが、父が倒れてしまったんです。当時独身だったのですが、僕は長男なので、父が死んでしまう前に、結婚して子供を産んで会社継いで、父に孫の顔を見せないと一生後悔すると思ったんです。必死にやって1年間で全て実行しました(笑)

日下部すごい!婚活ブームの今は結婚しようと思ってもなかなかできないのに(笑)

出会って1か月で電撃結婚し、子供もすぐできました。そうしたら父はみるみる元気になりましたね(笑)もともと父は土木の仕事をしていたのですが、毎日の接待で55㎏だった体重が100㎏まで増えてしまったんです。自分の靴紐が結べない状態で、医師から全内臓不全という診断が下りました。それが僕が生まれてすぐのときでした。自分が死んだら保険金しか入らない。でももう診断が下っているので他に保険にも入れない・・・。
父はどうしたかというと、新たに家を購入して賃貸物件の家賃収入で残された家族が生活が出来るよう、死ぬ準備をしたんです。しかし死にきれなかったんでしょうね、それから食事療法を始めました。
小さいながらも覚えているのですが、毎日、小豆とかぼちゃと昆布とごぼうと大根とレンコンと玄米しか食べない生活を続けていました。そのおかげで、55㎏まで体重が戻り、医師からも“もう大丈夫です”と言ってもらえました。それを機会に、体を蝕むような生活をやめ、自分が生き返った食事で体が良くなることを伝えていこうと、自然食品のお店をオープンしました。それが「辻安全食品」の始まりです。
実は僕も10年前まで86㎏あり、検査をしたら卵がアレルギーでした。それまではすぐに扁桃腺が腫れ、花粉症で、体重も重く、体もだるかったのですが、卵を摂らないようにしたら、扁桃腺も腫れなくなり、花粉症も治り、体重もみるみる減量して、適正体重を維持でるようになりました。体調もよく、健康体になれたんです。

日下部今はとってもスマートで理想的な体型ですし、とっても元気そうにしか見えません(笑)お父様から会社を継いだときは、もうアレルギー食のニーズが高まっていた頃だったんですね。

医学界でもようやく食のアレルギーなどが発表されるようになった時期でした。

辻安全食品株式会社

食物アレルギー対応食品の開拓者としての責任と患者さんへの想い

健康医療コーディネーター認定証

日下部過去にご苦労されたことは?

アレルギーになるものが1ppmでも混入したらいけないという中で仕事をしていますが、過去に工場で事故を起こしたことがあり、頭を下げて全国を回りました。
でも最後にはうちのような会社がないと生きていないというお子さんを抱えている親御さんから、頑張ってくださいとエールを送ってくれました。
うちのようなアレルギー食品専門会社は、間違いなく日本で最初の会社ですし、ここまで徹底しているところは他にほとんどないと思います。では何故これだけのニーズがあるのに参入する企業がないのか?それは“ハイリスクノーリターン”だからです(笑)

日下部そうですね。コストがかかるわりには、日常の食品なので、高い値段はつけられない・・・企業努力も必要ですね。

さらには食品に防腐剤を入れないため、長期間の保存が出来ず、売れないと大きなロスになります。保存料を入れないということは儲からないんですよ(笑)

日下部しかしながら、だからこそ価値がある企業ですね。

実はうちの弟が『もうやんカレー』という飲食店を経営しており、そこで販売しているレトルトカレーをうちが作っています。グルテンフリー、化学調味料不使用、更には無添加で作っているので、結構売れていますよ。そんな副業もしています(笑)

日下部私も食べたことあります!美味しいですよね。こういうお店は貴重です!
本当に食べ物は大事ですよね。飲食店や食品を扱うお店でそういう取り組みをされている店が当たり前になると、もっと利用率が増えると思います。

ちゃんとしたしたものを食べずに、防腐剤等が入ったものばかり食べていると、自分の大事な腸内細菌がいなくなってしまうらしいです。実際に便から採取して腸内細菌を調べると、腸内細菌が減ってしまっている人が多いことがわかります。あ、美魔女菌ってご存知ですか?(笑)

日下部知らないです。私にもいるかしら?(笑)

たぶんいると思います(笑)。美魔女菌って言われているのはエクオール菌という大豆由来の菌なのですが、何故か僕の腸内にはいるみたいです(笑)。その菌がいる人はいきいきと若々しいらしいですよ。

日下部美魔女菌、いいですね(笑)

今は自費になりますが、いろいろな検査がありますよね。そういう検査をすると、自分の健康を維持するヒントが得られるので、あとはお金をかけずにコントロールすればいいだけだと思うんです。アレルギーをみてもわかるように、テレビなどで芸能人がいいと言っていても、それが誰にでもいいわけではないんです。個人個人、合う食事は違うんだってことは理解してほしいですね。

日下部そうですね。実際に自閉症のお子さんをお持ちの親御さんに食事療法の大切さを伝えたことがありますが、親自体が“食事でどうにかなることじゃない”という感覚を持ってしまっていると、薬での対応ばかりで、食事への取り組みに関心すら持たないケースもあります。そうかと思うと、辻社長のところには毎日のように食品を購入しに来られて、愛情のある食事で子供を良い方向に導こうとする親御さんもいます。
一体何が違うのでしょうね?

治らないことが当たり前の世の中ですから、思考が固まってしまうのかもしれませんね。
半信半疑で徹底して取り組めない親御さんの場合、うちに来てくださっても、お子さんは変わらなかったりしますので、やはり親の意識って本当に大切なんです。
それから、国の財政面からも、障害者手帳をもらう人をこれ以上増やしたらいけないと思っています。その手帳をもらうと、あきらめてしまう親もいると思いますし、実際にその支援金をねらう業者もたくさんいますから・・・。

日下部淑美

僕たちができることは、子供の血液検査の結果からアレルギーのあるものを伝え、所属している管理栄養士の力を借りて、その中でどう食事をするかを伝えてあげるくらいしかできません。
それでも、食事の中で合わないものを排除するだけで、明らかに変化があります。また発達障害児向けの教育プログラムを実施しているエジソンアインシュタインスクール協会にも食品の提供をさせて頂いていますが、そこでは食事への配慮や脳の教育、子供の状態の仕組みなどを説明してくれるプログラムがあります。
そういう分野は専門の方にお任せし、我々は得意な食品を作って個々に合わないものを排除できるようにサポートしています。

子供が生まれてからではなく、産もうと考えたら興味を持ってほしい

辻 幸一郎

日下部これからの辻社長の展望を教えてください。

今をちゃんとやる!というポリシーなので、先の計画は立てません(笑)今の自分も自分で驚いているくらいなので、僕みたいなタイプは計画でどうにかなるようなタイプではないと思います。与えられた機会を一生懸命やるだけです。うちには食品を買いにくるアトピーの重症の子や発達障害の子供達がたくさんおりますが、本当は生まれてからではなく、今元気で健康な子供たちや、これから子供を産もうと考えているお母さん達にうちのような食品に興味を持ってもらえたらうれしいですね。

日下部産む前のお母さんの体の状態は本当に大事ですよね。花嫁修業は体作りから・・・なのかもしれないですね。アレルゲンになる食品を排除した食事をとられている辻社長ですが、健康に気をつけていることは他にありますか?

ストレスを溜めないようにしていますが、他には食べる順番を考えたり、水は良い質のものを選ぶようにしています。おかげで、いつ血液検査をしてもオールAです(笑)。
それから、ちゃんとした掃除機をつかって空気を汚さないとか、お風呂のお湯も塩素の影響を抑えるようにするとか・・・アレルギーの人がやっている日常生活は、普通の人にも必要なことだと思いますので、気を付けています。洗濯洗剤なんかもそうですね。

日下部ストレスは多くの病気の原因になるので、溜めないようにできるのはいいですね。
今、ほとんどの人が何かしらの症状、たとえば頭痛や肩こり、疲労感等、人にはあえていうほどでないにしても、何かしら抱えている時代ですからね。
食べ物以外でも、生活全般で使うものを、自分にとっても環境にとっても良い物を選んでいくことって大事ですね。

そういうものを選ぶ自分の眼を養ってもらいたいですね。

日下部今日は貴重なお話をありがとうございました。

辻 幸一郎・日下部淑美

日下部淑美からひとこと

アレルギー対応の食事というのは、アレルギーの方向けのものではありません。
実はすべての人に対応した食事だということになります。本来、アレルギーとは、自分に合わないものを排泄してくれる素晴らしい反応です。抑え込んで体の中に閉じ込めてしまうのは逆効果。自分の治す力を信じ、生活の中で排除していくことで健やかな日々を送れるようになるのではないでしょうか。何かしらの不調を抱えている方は、食事を始めとする身の回りの生活環境に目を向けてみてはいかがでしょうか。

会社データ 関連リンク

辻安全食品株式会社

東京都杉並区荻窪2丁目41番12号

TEL: 03-3391-6261 / FAX : 03-3391-6274

代表者:辻 幸一郎

辻安全食品株式会社

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