目の前の人に自分の出来る限りのことをしてあげられる人生がいい
オーガニック料理教室 G-veggie 代表
はりまや 佳子
マクロビからオーガニックに内容が変わっても、エンターテイメント性を取り入れた料理教室「G-veggie」は相変わらずの大人気。そんな教室を運営するはりまやさんの穏やかで笑顔溢れる生き方について伺いました。
料理教室のきっかけはご主人の病気
心とカラダが健康になれば運も強くなる
はりまや 佳子(はりまや けいこ)
船井総研での経営コンサルタント業務、出版社での編集者を経て、ご主人の病気をきっかけに42歳でマクロビをティックを学びにアメリカ留学。帰国後に独立し料理教室を開業。料理教室にエンターテイメント性を加え日々進化し続けている。
オーガニック料理教室G-veggie 代表
一般社団法人日本オーガニックライフ協会 代表理事
はりまやもともと編集者だったので、自分がインタビューを受ける側になるなんて思ってもいませんでした。
日下部もともとお料理教室からはじまってらっしゃるんですよね?
はりまやはい、自宅ではじめたお料理教室が最初です。
日下部お料理教室を始めるきっかけが御主人のご病気だと伺いましたが。
はりまや肝硬変です。もともと主人はC型肝炎のウイルスを持っていたのですが全く自覚がなくて、たまたま健康診断をしたら肝機能の数値が悪いので病院で再検査して下さいと言われ、再検査した結果、C型肝炎どころか肝硬変という病気だったんです。
肝硬変は西洋医学では不治の病といわれている病気で、進行性の病気になります。肝硬変の次は肝臓癌になって死んでしまうんです。
なので、ある日突然、“あなたのご主人は不治の病に侵されていて、死の2歩手前にいます”と宣告されてしまったんです。
その領域の権威の病院で治療をしていたのですが、残念ながら主人の場合進行性の治りにくいタイプで、西洋医学の治療が全く合わず、副作用ばかり強く出てしまいました。
宣告されるまでは普通に暮らしていたのに、宣告されて治療を始めたとたんに病人になってしまったんです。3か月間は治療してみたのですが、これではどうしても治らないと思いました。尚且つ、日本の健康保険は3割負担1割負担ですが、これは治る病気に限りなんですよ。
日下部そうだったんですか?
はりまや肝硬変は治らない病気なので、保険の適用外なんです。
日下部それは納得いかないですね。
はりまや主人は同居をしていた父と母にお願いし、3か月間留学して帰ってきたのが2005年の末です。そして2006年の2月にマクロビの料理教室の募集を始めました。
実は、オーガニックやマクロビなど自然の恵みを食べるようになると、心が安定してきます。すると今度は運が良くなるみたいなんです。
ちょうどその頃、始まったばかりのヤフーのスポンサーサーチに広告を出しました。今ならものすごい金額になりますが、当時はまだ料金も安くて、マクロビで検索するとトップに掲載されていました。
私はオンエアは見ていませんでしたが、ちょうどその時期にSMAP×SMAPという番組にマドンナが出演して、“私のプライベートシェフは日本人で、私はマクロビオティックをやっているから綺麗なのよ”というようなことを発言したみたいで。そのマドンナのプライベートシェフと私は同じ学校で、同じ資格を有していたということもあって検索する人が一気に増えました。そのおかげで、まだ料理教室の実績もなかったのに、第1期生募集にわずか1か月で108人も集まりました。
日下部すごいですね。
はりまや銀座とかではなく、蒲田の自宅教室でなのに、本当にありがたいですよね。7~8クラス設定したのですが、お陰様で満席でスタートすることが出来ました。心とカラダが健康になると運も強くなると、生徒さんにも話をしています。
日下部江戸時代の観相師、水野南北も「食は運命を左右する」と言っています。何を食べて自分を培っているかで運命は違ってきますよね。
はりまや私は39歳のときにマクロビに出会い、今年で14年目になりますが、30代の頃より今のほうが健康ですし、心も穏やかで毎日が楽しくて、人生に対して不安とか迷いがなくなりました。
犬を飼っているので毎朝散歩がてら神社にお参りをするのですが、昔は煩悩の固まりでお願いごとばかりだったのが、ここ最近はお願い事がなくなりました(笑)“今日も健康で幸せでありがとうございます”しか言う言葉がないんです。私は今、自分がこうなりたいというのはあまりなくて、ご縁のあった方々が健康で不安なく穏やかに暮らせますようにと願っています。
私の人生のメンターは船井幸雄さん
傍にいてあれほど素晴らしい人はいない
日下部ずっと料理教室をやってこられていましたが、日本オーガニックライフ協会を立ち上げたのはどんな経緯だったのですか?
はりまや出版社で編集者をする前に、船井総合研究所で経営コンサルタントをやっていたんです。温泉ソムリエってご存知ですか?
日下部はい。聞いたことがあります。
はりまやその温泉ソムリエの家元は船井総研の同僚で、赤倉の温泉旅館の息子さんだったんですが、スキー人口の減少で、昔のように待っていればお客さんが来る時代ではないことに気づいたそうなんです。
そこで、もっと温泉を好きになってもらおうと、温泉ソムリエという資格を作り、赤倉温泉に来てお湯に浸かれば、温泉ソムリエの資格が取れるというのを考えて、大当たりしたんですね。
うちの料理教室は1年間の講座しかないのですが、それを知った船井総研の同僚が、温泉ソムリエを見習って1日で取れる資格をつくったらもっと裾野が広がるとアドバイスしてくれたんです。それならということで、温泉ソムリエの同僚にも相談してノウハウを教えてもらったんです。
船井総研時代の仲間の凄いところは、自分のノウハウを惜しげもなく見返りも求めず教えるところなんです。君が頑張るならなんでも聞いてくれと言ってくれる・・・本当の友情ってこういうことなんだなって思います。
日下部今までの経歴や経験には意味があったんですね。経営コンサルタントが料理教室をするなんて、当時はだれも想像していなかったと思いますが、それも必要なことだったんですね。
はりまや人脈をつくるために異業種交流会などに参加したりする方もいますが、私はそういうところに参加するのは苦手で。有り難いことにたくさんの方に支えていただいているのは、仕事をしているときにどの場所でも全力投球でやっていたからだと思うんです。船井総研のときも、出版社のときも“ベストを尽くす”ということをしてきたので、周りの方がこんな頑張っているなら応援してやろうと思っていただけるのだと思います。
日下部本当そうですよね。口だけで実際に行動しない人に、誰も力を貸そうとは思わないですから。
はりまや私が幸運なのは、20代のときに船井総研に居られたことですね。傍にいてあれほど素晴らしい人はいないっていうくらい、私の人生のメンターは“船井幸雄”さんなんです。とにかく有言実行で、人のために尽くし、いつも笑顔で一緒に居るだけで幸せになる。心に残るような言葉を話してくださる本物の一流の方でしたね。30代の頃は船井幸雄さんの担当編集者だったんです。
日下部私も船井幸雄さんの本を持っています。
はりまや私は船井幸雄さんがPHPで出版された『人間の研究』という本を書かれたときにお会いしているんですが、その頃の彼の人間に関する哲学が本当に素晴らしくて。
今は亡くなってしまいましたが、会長に出会えた船井総研の社員達は、みんな人生の宝をいただいたって思っています。一流の方から仕事術を叩き込まれて学んでいますから、ブレないんですよね。
だから船井総研の仲間は、何かあるとみんなのために、仲間のためにって動けるんですよ。
日下部大手企業だと創業者と会話することもなく、肌で感じることもない。直属の上司しか知らないで終わってしまう人がほとんどですから、うらやましいですね。
はりまや出版社の頃は一流の著者の方達を担当することが出来たので、運が良かったですね。今は自分で事業をやっていますが、この頃の先生方から学んだことや、先生方がどんな判断をしたのかを思い出して、自分の指標にしています。
日下部オーガニックライフ協会では1日でオーガニック料理ソムリエの資格がとれるようですが、どのような資格になるのでしょうか?
はりまやオーガニック料理の美味しさや素晴らしさを伝えるオーガニックのスペシャリストのための認定資格です。この講座を受講していただくと、安心安全、シンプルで美味しいオーガニック料理の調理法、オーガニックの意味と意義、そしてその目的を伝えられる”オーガニック料理ソムリエ”として活躍していただけます。
経営コンサルタントのエッセンスとして
料理教室にエンターテイメント性を取り入れた
日下部講座のプログラムなども、ご自身で構築されているのですか?
はりまや全部自分でやっています。編集者をやっていたので1冊の本をつくることを考えると、講座の構成などは簡単にできてしまうので、そのあたりは得意ですね。
それから、経営コンサルタントのエッセンスとして、船井総研の「講演をエンターテイメントにする」という発想を取り入れ、来たお客さんに楽しんで帰っていただくために、お料理教室にもエンターテイメント性を盛り込んでいます。
基本の理論だけなら誰が教えて同じですが、そこにエンターテイメントという付加価値が加わることで、人を惹きつける魅力が出るんだと思います。
日下部基本だったら本でも学べますしね。そこにG-veggieの魅力がある気がします。G-veggie料理教室のプログラムや特徴を教えて下さい。
はりまやG-veggieの基礎コースは週末クラスは月1回4時間、平日クラスは2週間ごとに2時間ずつ通えるスタイルが特徴で、【講義】と【調理実習】の両方を1年間で学んででいただくことで、一年後には「新しい食&生活習慣」がしっかり身につくのが特徴です。
日下部以前はマクロビを前面に出していましたが、今はオーガニックに変えて何か変化はありましたか?
はりまやありましたね。マクロビというとどうしても病気治しのイメージが強くて、ストイックな印象ですよね。来る生徒さんも体の不調を抱えていたり、家族が病気だったりという方が多かったのですが、今はどちらかというと、おしゃれとか美容に寄っているので裾野が広がりましたね。もちろん健康志向で、未病という目的を持っている方も多いです。やっていることは同じでも言葉のマジックですね。
日下部少し重いイメージから軽いイメージなりますね。
はりまやもともと日本には素晴らしい食文化があり、それを知っていると知らないのとでは、人生が変わってきます。なので一人でも多くの人に知ってもらうには、変化し進化していかないといけません。12年前はマクロビという言葉が正解でしたが、中身は変えず、エンターテイメントとして時代の流れに合わせて見せ方を変えていくつもりです。
日下部最近は女性も料理をしない人が多いですよね。カットされた野菜が売っていたりすると、包丁も初めて使いますなんてこともあるのではないでしょうか。10年以上にわたって料理教室をしていると、そのあたりの時代の変化も生徒さんから垣間見えたりするのでしょうか?
はりまやありますね。日本はアメリカの10~15年遅れていて、私がアメリカに留学していたときに見てきたことが、今日本で起こっています。若い人が包丁とまな板が使えない、お料理をしたことがない、簡単便利なレトルトばかり食べるようになる、外食大好き・・・。これから先、さらにどうなっていくのかも、アメリカを見てみると分かりますね。
日下部アメリカでは日本よりオーガニックが進んでいますし、野菜の消費量も日本より増えていて、がんの罹患率も年々減ってきています。国の政策では日本はアメリカより20年遅れていますが、少しずつ日本も良い方向に変わってほしいと思っています。
はりまやそうですよね。でも残念ながら日本は官が主導では変われないので、民が動いて変えていくしかないと思っています。
日下部今は何が大切かを気づき、変化が起こり始めた時期なので、同じような志で取り組みをしている人も増えていますよね。
はりまやそうですね。船井流でいうとその人の良いところを伸ばす「長所進展法」というやり方があるのですが、私がやっていることは常に目の前に居る人の良いところを伸ばすことだけなんです。
日下部お料理教室で良いところだけ伸ばすというのはどういうことですか?
はりまや包丁とまな板の使い方が下手でも構わないんです。それよりもお料理をしたいという気持ちを伸ばしてあげれば、自然と覚えていきますから。
普通の学校では、こうしなさい、ああしなさいと押し付けるんですが、そうではなく「野菜と向き合ってみて。野菜ってかわいいでしょ?この葉っぱはこうやって生えているから野菜の気持ちになって切ってあげると上手に切れるよ」って教えてあげるんです。
みんな優しい気持ちがあってお料理したいと思っているから、すぐに上手に切れなくても全然構わなくて、お野菜の気持ちになってあげることのほうがずっと大切だと伝えています。上手にやることに意味はなく、楽しくやることや幸せになることのほうが大切なんです。そう言うとみんな肩の力がぬけて、自分のペースで取り組めるようになりますね。
日下部お料理を教えるって大変なイメージがあるんですが・・・
はりまやそれは技術を教えようとするからだと思います。私は難しいお料理を教えるのではなく、素材を活かす方法で、あまり料理をし過ぎないことも大切だと伝えています。技術よりも愛情が大切なんですよ。
日下部そうですね。料理をする人の愛情って、料理の中に入り込んでいますよね。
はりまや特に女性は頑張ることより笑顔でいることのほうが大事で、人と比べる必要もないですし、比べようもないんです。体質も違えば体調も違うのに比べるから、辛くなるんです。鉄1㎏と綿1㎏を比べているようなもので、どっちの1㎏がいいとか悪いとかではなく、どちらも必要なんですね。
日下部男性の生徒さんはいらっしゃいますか?
はりまや増えていますね。自分の健康管理のためにという方や、娘さんと共通の会話をするためにという可愛い理由の男性もいたりします。夫婦で参加される方もいますよ。
日下部最近は料理ができる男性がモテますよね。
はりまやうちはただ作るだけでなく理論の話もするので、男性はその部分が楽しいみたいですよ。このあたりが他の料理教室とは違うところかもしれないですね。
自分のことを愛して支えてくれる家族との時間をもっと大切にしてほしい
日下部いつも元気で笑顔で過ごしているはりまやさんですが、犬の散歩以外に何か健康管理に取り組まれていることはありますか?もちろん食事はよいと思いますが。
はりまやたんたんと生活をしています。朝起きて散歩をして、掃除をして、ごはんを食べて、仕事をして・・・という感じですが、他の経営者の方と大きく違うのは、夜早く寝ることですね。
夜のお付き合いなどは、家族と過ごす時間がなくなるのでほとんど行かないです。一番大切なのは自分自身ですが、次に大切なのが家族なので。私の父と母はもう80歳なんですが、いつ何があるか分からないし、愛犬も15歳なので人間にすると80歳なんです。今のこの家族が一緒に居られる時間には限りがあるから、私はできる限り家にいて、家族と過ごすようにしています。夜、仕事がないときはなるべく家族で食事をして、お風呂に入って、何もなければ9時には寝ます。
日下部9時は早いですね。でも朝も早いのですか?
はりまや5時くらいには起きます。夏は4時台に起きますよ。規則正しくというと、同じ時間に寝て同じ時間に起きることと思っている人がいますが、自然に合わせているのが正解で、冬のほうが睡眠時間は長くなるんですよ。
日下部日照時間に合わせて活動時間も変える方が良いですよね。はりまやさんの睡眠は、体の修復のために眠っていた方がよいとされるゴールデンタイムをしっかりとられていますし、ご家族を大切に笑顔で過ごされているのでストレスなども無さそうですね。
はりまやフェイスブックを見ていると思うのですが、友達と外食したりしている写真をアップする方はいても、家族との時間をアップする方が少ないですよね。自分のことを愛して支えてくれるのは家族ですから、できればもっと家族との時間を大切にしてほしいと思います。
私の父母は、こんなに愛情豊かな人はいないというくらい、子供に愛情をかけて育ててくれた人なので、本当に大好きだし、長生きしてほしいと思っているんです。これだけ家族が仲が良いのは、父と母が仲が良かったからなんですよね。
日下部親の影響は大きいですね。最近は愛情がもらえずに育ってしまった人も増えているように思います。そういう人には仲良くするということが難しいという場合もありますよね。
はりまや家族には仲良くしようとうする強い力が必要なんです。
日下部待っているだけじゃだめですよね。自分からも行動しないと。でもうらやましいご家族ですよね。
はりまやそうですね。自分がそんな家族を作りたいと思ったら、まずは自分が変わらないと。やはり家庭が安定していないと仕事もうまくいきません。うちは、親戚も含めてみんな仲が良いですね。ただみんなで集まって食事をしているだけなんですけどね。
日下部やはり食事ですね。
はりまや家で食べるごはんが一番美味しいって思える人は、本当に幸せだと思います。
日下部今後のビジョンを教えてください。
はりまやそれはないんです。私は目の前にいる人に、自分の出来る限りのことをして差し上げる人生であればいいと思っています。でもそのときに神様が私にこういうこともしなさいってステージを用意してくださったら、そこで最高のパフォーマンスをするだけです。
日下部なるほど、そういう考えも素敵ですね。ほとんどの人は目標をもって行動する方が多いと思いますが、時がくれば神様がステージを用意してくれるという考えですね。
はりまややることは自分を高めることだと思います。健康で精神面も安定して、笑顔でベストな状態であれば、志の高い人がついてきてくれますし、そういう人が集まってくるんです。嫌なことなんてなくなるんですよね。だから私は他人には期待はしませんが、自分自身にはどこまで高められるのか期待をしています。
日下部素晴らしいですね。元気で幸せになる方を一人でも多く導いてほしいと思います。
日下部淑美からひとこと
今の自分があるのは、今まで歩んできた自分の経験の賜物。
全ての経験に無駄はありません。全てに感謝し笑顔で過ごすことで、間違いなく運が引き寄せられ、これからの自分の糧になる。運の良い人は、運の良くなる習慣をしているものです。
今回のインタビューでもそれを感じずにはいられません。食が変わると心が変わる。心が変わると運命が変わる。今年は信じて実行してみませんか?
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オーガニック料理教室 G-veggie 東京都中央区銀座3-12-19 銀座楽心ビル1階 TEL: 03-6278-8577 / FAX : 03-6733-8760 代表者:はりまや 佳子 |
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