環境優先でサスティナブルなモノづくりが我々の最大のサービス

株式会社アバンティ 代表取締役

渡邊 智惠子

世界の原綿生産量のわずか1%ほどしかないオーガニックコットン。環境優先のモノづくり、サスティナブルなモノづくりを掲げる株式会社アバンティの渡邊社長の想いを聞かせていただきました。

商いとして取り組むなら、環境的にも精神的に気持ちのよいものをやりたかった

渡邊 智惠子

渡邊 智惠子(わたなべちえこ)

1985年創業1990年よりオーガニックコットン原綿輸入を開始し4年後には原綿から糸、生地、製品までの一貫供給体制確立。1996年にはオリジナルブランド「プリスティン」を立ち上げ販路を拡大。東北復興支援「東北グランマの仕事づくり」や「フクシマオーガニックコットンプロジェクト」も手掛けている。またNPO法人日本オーガニックコットン協会設立の副理事長も務める。

日下部社長がこの事業をはじめようと思ったきっかけを教えてください。

渡邊1990年にイギリス人のエコロジストのからの依頼で、オーガニックコットンの生地の輸入を手がけたことがきっかけです。

日下部やり始めてからの心境の変化はありましたか?

渡邊最初はオーガニックコットンのことを知らなかったので、こんなに長く事業として取り組むような計画も立てていたわけではありませんでした。しかし、もともと好奇心旺盛な方だったので、新しいオーガニックコットンの世界すべてが新鮮でした。

日下部オーガニックコットンを知っていくと、世の中への貢献度が高くメッセージ性のある商品だと思いますが、このオーガニックコットンの必要性などはどう思われていますか?

渡邊必要性というより食べていくためのものでした。商いとしてやっていくなら、どうやったら多くの人に買っていただけるか、ということだと思うのです。それと同時に通常のコットンというのは環境に対しダメージの非常に大きいものだったと気が付いたのです。自分がより環境に対して良いものを商いとして取り組むならば、環境的にも精神的に気持ちのよいものをやりたいと思ったのです。
ただ従来のアメリカ製のオーガニックコットン製品のTシャツを着ても、感触としても気持ちが良いと感じられるものは私にとってはありませんでした。それから日本での糸作りや生地作りをいろいろなメーカーさんにご協力をいただいて製品過程における化学薬剤の使い方の基準を作っていたのですが、そのような中で、化学薬品を使わないで物作りをすることが、綿の性格を素直に引き出し、さらに“気持ちいい”製品になるんだと理解できるようになってきました。

日下部今はすべて国内生産ということですか?

渡邊そうです。オーガニックの綿はアメリカから輸入をしていて、その先の糸作りや生地作りは国内生産になります。当初はアメリカから糸を輸入したりもしていましたが、それらを作るプロセスでもできるだけ化学薬品を抑える方法で今は作っています。

日下部肌にとって気持ちいいと思える製品ですから、きっとお客様からのお声も届くと思うのですが、どのような声がありますか?

渡邊お客様のお声はホームページにも載っているのですが、我々の製品につけている「そばかすお手紙」というのがあるのですが、凄い量の返信をいただいています。これは我々の宝ですね。通常の製品のリプライとはかけ離れていると思っています。このように書いてくださるお客様というのは、商品の本当のファンなんだと思うのです。

紙おむつは母子ともに鈍感な人間をつくる

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部オーガニックコットンのことをまだ知らない方も多いと思うのですが、社長からメッセージを伝えるとしたらどんなメッセージを伝えたいですか?

渡邊お母さん世代には、「紙おむつはやめましょう」と言いたいですね。
紙おむつは、便利ではありますが、弊害も大きく、ある方は「紙おむつは母子ともに鈍感な人間をつくる」といわれています。おしっこをしたら冷たくなるから子供は泣く、泣くとお母さんは“おしっこしたの?”と新しいおむつに取り換えてくれる。取り換えてくれるとママに対する子供の母親に対する信頼が生まれる。母親が常に気にかけることで“いつも気にかけてくれているんだ”という安心感が生まれるわけです。
紙おむつというのは、紙ではなく化学製品なのです。それがお尻にずっとついているということは経皮毒として吸収されてしまいます。24時間肌に密着しているお尻の経皮毒の吸収率は50倍くらいになってしまっているといわれます。そして紙おむつに使われている高分子ポリマーの主成分は、冷えピタと同じ成分で、冷やす作用があります。

日下部子供の頃から冷やされてしまっている状況ということですね。最近の若い世代の人のほうが紙おむつの犠牲者ですね。

渡邊垂れ流しになってもサラッとしていますので、気持ち悪くないので子供は泣いて教えず放ってしまう。お母さんは、おしっこで重くなった感じなどを見て、そろそろ換えないと、とおむつを換える。それでは、子供とのスキンシップというのを軽くしてしまっていると思います。
人間とは0歳から3歳までの間に心を育てるといわれますが、その一番心を育てるときに、お母さんが自分のことを見ていてくれているという安心感が生まれます。その安心感が心を育てる上で大事なんですよね。
紙おむつは3~4歳までOKとされていますが、その間中、ずっと肌に密着しているわけです。おむつがあると走りにくいですよね。おむつが外れるといっぱい走り回れる。走るとお腹が空く、お腹が空くとごはんもしっかり食べる。食べればそれが血肉になる。この効果って、とても大きいと私は思っています。

日下部女性でいうと布ナプキンも増えていますよね。展示会などでも多く出展しているのを見かけます。

渡邊そうですね。我々も製品がありますが、売上的にも伸びていますね。

日下部これからは、高齢者の問題もあると思いますが、紙おむつに代わる製品の依頼もあるのですか?

渡邊大人用のおしめはできれば作りたくないです。おしめは使って欲しくないので。うちの母も最後の最後までトイレに連れていきました。私は、大人が紙おむつを使った時に、生きるというエネルギーが相当な勢いで落ちると思っています。私は最後まで使わせない介護の仕方があるんじゃないかと思うんです。

日本の繊維自給率はゼロ。3年以上かけたオーガニックコットンも戦争で一瞬にしてなくなる

渡邊智惠子

日下部「ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて」という映画を渡邊社長もお勧めだと思いますが、種などの問題についてどう思われますか?

渡邊オーガニックコットンのビジネスに取り組んでいることもありますので、少なくとも種が命であり、遺伝子組み換えの種はNOだよね、というあのメッセージをより多くの人に伝えたいと思っています。ただ、私が伝えるというのでなく、私以外の人が、同じメッセージを伝えていく手立てを持っているならば、それを使わせていただきたいと思っています。
種は自分の命であり、財産であると思っているので、それを有効に活用して、それを未来に繋げていきたいですね。

日下部社長はやはり普段からオーガニックコットンのものを身につけているのでしょうか?

渡邊私は歩く広告塔なので身につけています。

日下部お客さんの中でいただいたメッセージなどで心に残るようなお声があれば教えてください。

渡邊布ナプキンを使ってくださったお母さんと娘さんが親子で一緒に来て「生理痛が治りました」とおっしゃってくださったことや、冬の乾燥が気にならなくなったとか、自分がオーガニックコットンの服をきていると、赤ちゃんが頬を摺り寄せてきて、そうでないもののときはなんだか嫌そうにしているというお声をいただいたときは、製品の良さを自分達でも実感せずにはいられません。
しかし、私達はそういう機能的なことを狙っているわけではないんですよね。あくまでも環境に対しての問題を優先に考えて取り組んでいるだけなのです。遺伝子組み換えの種を使わない、出来るだけ染色をしない、生地そのままの色を使うことで環境へのダメージを減らし、さらに淡水の使用量がすごく少なくて済むのです。
通常、染める場合には、脱脂をして、漂白をして、染料を入れて、定着剤を入れて、柔軟剤を入れて、そして防縮剤を入れるという6工程くらいで薬剤を使い、水を使って洗い流すわけですが、そこを私達はやっていません。
脱脂をする場合もありますが、毛布などのようなものは脱脂をませんし、むしろ油分が残っていることによって柔らかさや温かさがあると思っています。
そのようなモノづくりをしていることが、“柔らかくて気持ちがいい”製品に繋がっていきますし、その気持ちがお母さんの平安な心につながり、それが子供に伝わり、安心感が生まれていくと考えています。
いかに環境優先でモノづくりをするか、サスティナブルなモノづくりをするかというのが、我々の最大のサービスであり、アトピーなどが改善したとか、体調が良くなったということは、その結果の副産物なのです。

渡邊智惠子

日下部今の環境問題はどう思われますか?

渡邊世界中の6~7割が遺伝子組み換えの種となってしまっており、世界の農業を数社の企業で牛耳ることに危機を感じています。農業というのは、あくまでもローカリゼーションの中で、そのエリアの気候や風土にあった特産物を作ることが農業であり、それがグローバルである必要はないと思っています。私にとっては、環境というよりは、マンメイドの種を世界中にばらまかれることを問題視したいですね。
そしてもうひとつは、世界中でたくさん戦争が起こっていることが問題だと思います。オーガニックは、3年間以上無農薬で化学肥料を使わない土壌で作ったものを認証して、オーガニックといわれますが、これが原発などの汚れた空気や汚れた環境になったとき、農家の人の苦労は一瞬で壊されてしまいます。シリアという国は、今は難民の多い国になってしまっていますが、3年前までオーガニックコットンの世界No1の生産国だったのです。それが一瞬にしてなくなってしまう・・・私達の怒りってそこにしかないのです。環境問題って軽々しくは言えないくらい深い問題なのです。
このようなことが起こると、ある意味でオーガニックコットンをやっていることが虚しくなることがあります。シリアでオーガニックコットンのファーマーだった人達が、一瞬にして難民になってしまう。そして空爆、水爆、と世界を汚染していく。一所懸命3年間以上かけてオーガニックコットンを作ってきていることがバカらしくなってしまうのです。

日下部そういうことって一般の人からすると把握しにくく、気づきにくいところですね。戦争のことを考えるとオーガニックコットンを輸入している立場としては、ずっと輸入し続けられるのかという心配も常にあるということですね。

渡邊今、日本の繊維自給率はゼロです。製品も95%が海外製品で、そのうちの80%が中国製品です。そう考えると日本と中国の関係が悪くなるようではいけないし、戦争なんて絶対にしていてはいけないですよね。

日下部日本は食べるものも自給率38%と低い状況ですからね。

渡邊今まはだ食べるものは38%ありますが、繊維はゼロ、石油もゼロです。

日下部繊維は問題視されにくいですね。食品の自給率が40%を切ったというとニュースにもなったりしていますが、ゼロの繊維はニュースになりませんからね。日本の環境では綿の栽培は向かないのでしょうか?

渡邊実は我々は国内の10か所以上で綿の栽培を始めています。福島でもやっているのですが、風評被害でお米を植えても、野菜を植えてもなかなか買ってもらえない。では食べるものではない綿を植えようということで、2012年から福島オーガニックコットンプロジェクトをスタートさせ、現在30か所くらいで栽培をしています。

日下部もう収穫はできたりしているのですか?

渡邊すでに製品まで出来ています。我々の製品のうちの1%にも満たないですが。

日下部収穫された綿の放射能の測定などはされているのですか?

渡邊もちろんです。土壌の検査をしっかりしたうえで栽培するようにしておりますし、染量も測定しています。

早寝、早起き、早歩き、それと下駄。これが最大の健康法

渡邊智惠子

日下部社長もお忙しいと思いますが、渡邊社長の健康法はありますか?

渡邊私はとても単純で、早寝、早起き、早歩き、それと下駄をはいています。これが最大の健康法だと思っています。朝は4時半起床、夜は11時半には寝たいと思っています。歩く速さは時速6kmです(笑)。仕事でも移動が多いので歩くときが自分の一番のエクササイズだと思って早歩きしています。

日下部お食事も気にされているのですか?

渡邊これでなければダメというのではなく、ベターな方法をとりたいな、と思っています。Noというのはストレスになりますから、臨機応変に対応しつつ自己管理をしています。

日下部仕事をしているとストレスはつきものですが、社長のストレス解消法などはあるのでしょうか?

渡邊冗談言って、大口を開けて笑ったりすることですかね(笑)。やはり時間をつくるというのは難しいので、日常の営みの中でやれることでいいかなと思っています。

日下部スタッフさんからみても、社長は笑顔が多いですか?

スタッフはい。それに、社長はいつも自然体が一番と言っています。

日下部社長さんが自然体だとスタッフさんも自然体でいられそうですよね。自然のものを扱っていらっしゃるので自然体で生き生きとこれからも頑張ってください。ありがとうございました。

渡邊智惠子・日下部淑美

お知らせ
2016年1月より一年間、渡邊智惠子社長がパーソナリティを務めるラジオ番組「22世紀に残すもの」が、毎週日曜日15時30分~16時(30分)FM79.2レインボータウンFM木場にて放送中です。
ラジオの対談はFacebookページ「22世紀に残すもの」にて動画配信も行っております。

日下部淑美からひとこと

食の自給率は38%と低い日本ですが、実は繊維は自給率がゼロ。そんな中でのオーガニックコットンの製品づくりは多くの苦難もあるのだと思います。農業のローカリゼーションは、グローバルな環境問題への取り組みとイコールになるのだと感じました。環境も、心も、自然体であれば、自ずと身につけるものも食べるものも自然のものになり、自然と健やかでいられることに繋がるはずなのです。日常の生活の中で、今から何か一つでも環境への配慮ができる取り組みをしていきたいですね。

会社データ 関連リンク

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TEL: 03-3226-7789 / FAX : 03-3226-7580

代表者:渡邊 智惠子

株式会社アバンティ

PRISTINE

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