人の知恵を形あるものにし 後世の人々が豊かに生きる糧となす

有限会社メディア・サーカス
代表取締役社長

作間 由美子

出版プロデュースをはじめ、たい焼き屋さんの経営や社会貢献活動など、世の中を元気にするためにマルチに活躍する作間さん。独立までの経緯やライフワークである忘れな草プロジェクトまで、心に根ざす想いをお伺いしました。

進まぬ農業復興。農業高校で学ぶ生徒達に夢を持ってもらいたい

作間 由美子

作間 由美子(さくま ゆみこ)

有限会社メディア・サーカス
代表取締役社長
人・会社・モノのファンを増やすための応援団として、本のプロデュースや飲食店の経営、さらに慈善事業を立ち上げ多くの人を笑顔にしている。。

日下部最近プロデュースされた書籍『イオンを創った女』(プレジデント社)が話題になっていますね。

作間この本はプレジデント社と共に著者の企画を引き出し、編集と仕上げを任せていただきましたが、わずか1か月で6刷となり、ユニクロの柳井さんからも高い評価をいただきました。

日下部すごいですね。御社の主な事業は出版になるのでしょうか?

作間出版は事業の一つの柱ですね。当初はマネジメント、アカウンティング、ヒューマンリソースなどMBA関連の本を制作してきましたが、今はもう少し幅を広げ、ビジネス書を中心に実用書なども手がけています。また創業当初は行政と一緒に「女性のための起業支援セミナー」を行っていました。これには、週に1度の開催にもかかわらず、半年間で670人も集まりました。このことがきっかけで、社会貢献型フランチャイズの企画をさせていただくようになりました。
女性は子供の幸せや、近所の心配事、家族の想いなど、生活目線から事業を立ち上げることが多く、このマインドでターゲットを絞り込み、カリキュラムを練り直したことで、多くの人を集めることができました。
私も同じ女性としての気づきや、本音で事業を話あえるような感性を学ばせていただきましたね。
その後、“スペシャルオリンピックス”という知的障がい者のオリンピックで最初のスポンサーになった方から、M&Aをした会社のたい焼き屋をフランチャイズ化するために協力してほしいというご依頼をいただき、 2005年に弊社が社会貢献型フランチャイズ1号店として“夢ある街のたい焼き屋さん”を経営することになりました。

日下部そうだったんですね。

作間先の女性のための起業支援セミナーでの経験から、働くのも、買うのも「社会のため、町のため」といった公共性が大事だということがわかっていました。
そこで、フランチャイズのロイヤリティを極力減らし、その分を社会に還元する貯金箱を提案したところ、快く導入していただくことになりました。そうして年に一度フランチャイズオーナーが集まって、寄付先やサポート先を協議する「一般社団法人 ほのぼの運動協議会」が立ち上がりました。

日下部協議会で行なっている“忘れな草プロジェクト”というのはどのような運動ですか?

作間2011年の東日本大震災の復興支援を目的として、福島県の農業高校の生徒たちが育てた忘れな草と、岩手県、宮城県で採れたホタテの貝殻にメッセージを添えて、配布・募金を行う活動です。
私の地元は福島ですが、震災1カ月後に宮城県石巻でボランティアを始めて、1~2か月に1度は物資を持ちながら、泥だしや片付けの手伝いをしてきました。この個人的な活動がもとになり、“忘れな草プロジェクト”が始まりました。
ボランディア活動中、ご遺体をどうすべきかなど、多くのことを考えさせられましたが、誰もが皆、最後はちゃんと成仏させてあげたいという想いを持っていて、宗教に関係なく全員で祈る姿を見て、日本人って本当に素晴らしいと感じました。

忘れな草プロジェクト

日下部報道ではなかなか真実が伝わっていないということも言われていましたよね。

作間私が実際に見てきたことを協議会で話しても、なかなか信じてもらえませんでしたので、みんなで被災地に行ったところ、全く復興できていないことに誰もがショックを受けていました。
協議会として、農業、林業、漁業などの産業を支援することになったのですが、私達のような小さな団体では、許容範囲以上のことはできません。福島では相変わらず野菜など、農業の復興が遅れていいたので、せめて農業高校で学んでいる生徒達には夢をもってもらいたいと思いました。
野菜が売れないのであれば、花はどうか?花卉園芸にシフトするいいチャンスかもしれない・・そこで思いついたのが忘れな草です。
忘れな草は海外でもそのまま「Forget Me Not(忘れないで)」という名前で、花言葉も「私を忘れないで」というものです。そのため震災を忘れないでという言葉とともに、未来をつくる子供達にこそ育ててもらいたいと思い、いくつもの農業高校にお願いしたところ、2校からOKの返事をいただきました。
そして2014年3月、農業高校が育てた忘れな草のチャリティイベントが、銀座、築地本願寺、代々木公園でスタートしました。

日下部素晴らしいですね。

作間チャリティイベントは農業高校の生徒達がボランティアで参加してくれているのですが、2017年には150人もの生徒が参加し、募金活動による寄付金は250万円も集まるようになりました。

作間 由美子

日下部続けることは大切ですね。来場者も増えているのですか?

作間増えていますね。銀座での開催が難しくなり、代わりに巣鴨で開催したことが大きいです。巣鴨はお年寄りが多い街なので、高校生だと自分の孫のように感じるみたいで、募金額も多くなりましたね。

日下部巣鴨いいですね(笑)。“忘れな草プロジェクト”は3月ですのでこれから忙しくなりますね。

どうやったら世の中を元気にできるか?

日下部淑美

日下部 淑美(くさかべ よしみ)

BODY INVESTMENT代表
フードエリート / 真実の予防医学食研究家 / 管理栄養士

プロフィール

日下部日本発酵文化協会で講師もやられているようですが、作間さんは独立する前はどのようなお仕事をされてきたのですか?

作間もともとはホテルマンで、京王プラザホテルに10年間勤務後、仙台のメトロポリタンホテルの立ち上げに関わり、その後は東京ステーションホテルの教育担当になりました。実はずっとソムリエだったんです。

日下部え~!多才ですね。

作間当時婚約していた彼もソムリエでしたが、同じ職業というのはうまくいかないもので (笑)
意見の対立やすれ違いが多くなったため、私は業界を去って出版社に転職しました。

日下部かなり異業種になりますが、なぜ出版社を選んだのでしょうか?

作間全く業界が違うので驚かれることも多いですが、ホテルも編集の仕事も対象は人です。編集の仕事には、著者の良いところを引き出し、応援したいという想いがあります。
出版社は転職用の就職雑誌でたまたま見つけて入社しました。最初は高額な教材を販売するコンサルティングセールス部の営業から始まり、編集の仕事を任されるようになりました。その後、子会社のサラリーマン社長を4年間やらせていただいたのですが、自分が本当に作りたい本を手掛けたいと思い独立しました。

日下部サラリーマン社長とはいえ、社長が辞めるのは社員が辞めるのとは違い、大変ではなかったですか?

作間私のいた子会社は、大口クライアントが倒産した影響で、1億4千万円の不良債権と8千万円の借金を抱えることになりました。
オフィスを親会社の一角に移し、4年間かけて負債を清算しましたが、親会社より「会社を休眠させる」と言われたこと、また苦楽を共にした参謀をがんで亡くしたことで、自分の中で糸が切れてしまい、退職することに決めました。
退職後は留学か起業かで悩んでいたのですが、親会社の社長をはじめ、周りには起業に反対する声が多く、でも一人の友人が「何故これからチャレンジしようとしていることを“ダメだ”という人の話しかきかないの?できると言ってくれる人もいるのだから、“ダメだ”という人に耳を貸すなよ!」と言われ、ハッとしたんです。それから自分が出来ることを一生懸命考えました。

書籍「イオンを創った女」

日下部その友人の一言が人生を変えたんですね。独立後は経験を活かして出版関係の仕事をスタートさせたということですね。

作間辞めると決めてから、それまでのクライアントさんが仕事を回してくれて、改めて身の引き締まる思いで仕事に取り組みました。“捨てると得る”ものもありますね。神様はちゃんと見ていると思いました。

日下部本づくりへの想いを教えてください。

作間ミッションとして掲げているのが「先人の知恵を書籍という形あるものにして遺す。それによって、後世の人々がより豊かに生きる糧となす」です。良いものを活字で残したい。映像にはない行間を読むことが自分の力になる。そんな想いからのミッションです。
私の父は特定郵便局をやっていて、普段から街の社長さん達が家に集まっていたので、子供の頃から多くの刺激を受けていました。でも早くに亡くなってしまったので、もっとたくさんのことを父から教わりたかった。また、家紋や家系などの歴史に興味があり、先代の意思や想いを伝えていくことはとても大事なことだと感じていました。

日下部やりがいや楽しいと感じるときはどんなときですか?

作間“どうやったら世の中を元気にできるか?”“みんなが幸せになる方法は何だろう?”とか、そんなことをみんなで話しているときが一番楽しいですね。それを実現するためのツールとして、出版やたいやき屋、日本発酵文化協会やほのぼの運動協議会があり、それぞれ表現の仕方が違う。だから自分の中では全てが楽しいです。

日下部誰かを幸せにするためのアプローチがいろいろある。仕事ってみんなそうなのかもしれませんね。

作間私は何かのプロフェッショナルではありませんが、プロの人達に応援してもらうことが出来るのかもしれません。

日下部どうやったらプロに応援してもらえるのでしょうか?

作間自分が出来ないことを認めることです。メンターの皆さんによく言われるのは、“目立たず、下手に、謙虚でいること”です。成功すればするほど、刃物を振って歩いているように見られ、本人にその気がなくても「なんだアイツ?」と思われてしまう。ジェラシーを持たれないように生きていくことが大事で、目立たない方が周りからサポートしてもらいやすいそうです。

作間 由美子

自分が変われば相手も変わる。だから “この人は絶対自分のことが嫌いなんだろうな・・・”と思う人にこそ、下からいきなさいと言われました。

日下部作間さんのように、これまでのキャリアや積み重ねてきたものがあったとしても、“目立つな”と言われてしまうのですか?

作間目立っているから言われるのかどうかは分かりませんが、人間社会はジェラシーだと教わりました。

自分のカラダと向き合うことで流れが変わった

日下部淑美

日下部毎日お忙しいと思いますが、健康に気を使っていることはありますか?

作間食事には気をつけていますね。出来るだけ余計なものが入っていないものを選んだり、お野菜や発酵食品を摂るようにしています。どうしても会食が多いので、一人で食事するときは、いかにシンプルな食事にするかを意識しています。

日下部お料理はされるのですか?

作間料理は好きですが、会食が多く作る機会も少ないので、なかなかやらないですね。でも、発酵協会にも在籍しているので、お味噌や醤油、甘酒などは手作りしています。

日下部それが一番ですね。食材はまず調味料を良いものに変えることが鉄則ですから。

作間それから、たまにファスティングをすることもあります。ホテルの仕事をしているときの食事が洋食中心で、実家からお米を5kg送ってきても、1年経っても消費できないくらいお米を食べておらず、バケット、チーズ、ハムのようなものばかり食べていました。

日下部体調は大丈夫でしたか?

作間お通じは悪かったですね。採血検診で卵巣がんの腫瘍マーカーが増えたことがあり、精密検査をしたのですが、幸い腫瘍は見つかりませんでした。でも「5年後くらいに顕在化する可能性もあるので、今のうちから出来ることを考えたらどうですか」と先生に言われ、食生活を変えるようになりました。
その頃から和食が美味しく感じられるようになり、発酵文化協会にかかわるきっかけが出来たりと流れが変わりはじめ、食事を和食中心に変えてからはお通じも良くなりました。

日下部自分のカラダと向き合い食事も改善されて、とてもいいことですね。これから更に取り組んでいきたいことはありますか?

作間英語が話せるようになりたいですね。すっかり忘れてしまったので。

日下部仕事上で英語を使う機会は多いのですか?

作間今はあまり使いませんが、大好きな日本の良さを伝える手段として、必要だと思っています。発酵文化を海外に伝える機会ができるときまでには、英語が話せるようにしておきたいですね。

日下部私も先日中国に行った際に、せめて英語が話せたらと思いました。

作間ビジネスとしては、いかに次世代に繋げていくかが主軸なので、今回の『イオンを創った女』のように様々な経営者のストーリーを本として遺していきたいですね。

日下部素敵ですね。

作間熱意だけです(笑)。“忘れな草プロジェクト”も6回目を迎え、最初の頃に参加してくれた高校生はもう23歳になります。それでもいまだにボランティアで参加してくれていますよ。

日下部それは嬉しいですね。ちゃんと想いが継承されていますね。

作間福島もまだ未解決なままの問題が山積みで、不安なことも多いと思います。でも発酵食品でデトックス出来るとも言われていますので、心配するよりも自分自身でカラダを強くする方を選び、伝えていきたいと思っています。

日下部いつも前向きですが、ストレス解消法などはありますか?

作間会社を支えてくれているパートナーに八つ当たりします(笑)。私はいつも言うだけですが、彼女が全部形にしてくれる。私は本当にパートナーに恵まれていますね。本人はどう思っているか分からないですが(笑)。

日下部素晴らしい信頼関係ですね。今日は素敵なお話をありがとうございました。

作間 由美子・日下部 淑美

日下部淑美からひとこと

世の中を少しでも元気にしたい。ビジネスの背景として誰もが想い描くものだと思います。
その表現方法やアプローチ、手段は千差万別。ただその仕事を継続させ、人に喜びを与え、やりがいを得るには揺るぎない熱い想いも継続させなければならない。そして結局、人は何をするにも誰かの助けが必要になるものです。謙虚に目立たず、人の協力を得ながら自分の想いを形にする。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」日本のことわざの教えの奥深さを改めて感じました。

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代表者:作間 由美子

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